【永久保存版!】現役大学生が教える古典力学のオススメ参考書

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大学に入学した物理学科の学生が1年生で必ず初めに勉強するのが古典力学という学問です古典力学は2年次以降に勉強する全ての物理学の基礎になっていると言っても過言ではありません。
近似の考え方や物理数学の方法など現代物理学を学ぶためのエッセンスが古典力学には凝縮されているのです

しかし、大学で勉強する「数学的手法を積極的に使い、実験に基づいて発展していく物理」は、高校で勉強した「公式を覚えて使う物理」とは大きく異なるため何となく勉強するだけでは講義について行けず単位を落としてしまうかもしれません。

そこで、今回は古典力学の基礎をマスターするための分かりやすい参考書を紹介していきたいと思います!
そして、より深くじっくりと学びたい人のために古典力学の名著についても解説出来ればと思います。

ここでは皆さんが図書館や書店で簡単に手に取れる本をピックアップするため、絶版になっている本は省き、和書に限定して紹介していきたいと思います

古典力学を勉強する前に

古典力学とはどういう学問か

古典力学は17世紀以前の天文学から派生して創られた、物体の運動を記述する学問です古典力学は大まかに発展の時期で2分割され、ケプラーらの観測を元にニュートンが創り上げた理論をニュートン力学、そしてニュートン力学をオイラー、ラグランジュ、ハミルトンらが数学的に洗練して再構成した理論を解析力学と言います。

以下では、これら2つをまとめて指すときに古典力学という言葉を用いることにします

古典力学に必要な物理数学

さて、初期の古典力学であるニュートン力学は高校の物理でも少し勉強しましたが、物理学科では1年前期~後期に微分積分などの数学を用いてニュートン力学を勉強し直します

高校の時の物理を思い出してみましょう高校では、力$\vec{F}$が作用する質量$m$の、質点の加速度$\vec{a}$との関係を表すニュートンの運動方程式は
\[
m\vec{a}=\vec{F}
\]
であると習ったと思いますしかし、大学ではこれをより一般的な形で表します加速度$\vec{a}$を質点の位置ベクトル$\vec{r}(t)$の、時間$t$の2階微分$\displaystyle\frac{d^2\vec{r(t)}}{dt^2}$であるとしてニュートンの運動方程式を
\[
m\frac{d^2\vec{r}(t)}{dt^2}=\vec{F}
\]
と記述します。

このように未知の関数とその導関数の関係式を表す方程式を数学では微分方程式と言います。

つまり、ニュートン力学において物体の運動を記述するということは数学的には微分方程式を解くという作業になります。よってニュートン力学を勉強するためには微分積分や微分方程式などが必要になります。

解析力学は大学のカリキュラムによりますが1年後期~2年後期のいずれかに学ぶことが多いです。

解析力学ではニュートンの運動方程式をオイラー・ラグランジュの運動方程式とハミルトンの正準運動方程式という形に書き換えます具体的な解説は省きますが、これによって対称性という考え方から保存則が見やすくなるということを学んでいきます。

解析力学も最低限要求される前提知識はニュートン力学と大きく変わりません。

実は、解析力学ではこれに加えて変分法という分野の知識も必要になりますが、これは微分積分が理解出来ていれば理解可能ですまた多くの解析力学の本には変分法の解説がなされています。
従って、微分積分と微分方程式(そしてニュートン力学)が分かっていれば勉強に取り掛かることが出来ます

ニュートン力学の基礎を理解したい人への3冊

ニュートン力学をサクッとマスターするならコレ!

馬場敬之、『力学』、マセマ、2016
【難易度:★☆☆☆☆ ボリューム:★☆☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

単位取得が危ういのでニュートン力学の基礎をサクッとマスターしたいという人にはこの本がオススメです発展的な問題は扱っていませんが、ニュートン力学の基礎を例題を交えて分かりやすく解説しています。
なお、マセマのシリーズはそれぞれの分野をマスターするために最低限必要な知識が分かりやすくまとめられているので、新しい分野を勉強する時の1冊にオススメです。

ニュートン力学の基本を理解したいアナタにオススメ!

前野昌弘、『よくわかる初等力学』、東京図書、2013
【難易度:★☆☆☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★☆☆☆☆】

ニュートン力学の基礎を理解したい人には、前述のマセマのほかにこの本もあります。
FAQや補足という形で初学者が疑問に思いやすいところを徹底的に解説しています。なお、演習問題の解答は本には掲載されていませんが、著者のホームページでダウンロード出来ます。

現代物理学を意識した、ニュートン力学の教科書!

篠本滋・坂口英継、『基幹講座 物理学 力学』、東京図書、2013
【難易度:★★☆☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★★★☆☆】

この本はノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんが監修をしている教科書で、益川さんによるコラムが随所に挟まれている点が大変興味深いです。
難易度はマセマシリーズ・よくわかるシリーズに比べて若干上がりますが、発展的な内容が扱われている節のタイトルには【発展】と書かれているので、1週目は飛ばして後で戻ってくるなど臨機応変な使い方が出来ます。

解析力学の基礎を理解したい人への4冊

解析力学をサクッとマスターするならコレ!

馬場敬之、『解析力学』、マセマ、2015
【難易度:★☆☆☆☆ ボリューム:★☆☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

単位取得が危ういので解析力学の基礎をサクッとマスターしたいという人にはこの本がオススメです。
発展的な問題は扱っていませんが、解析力学の基礎を例題を交えて分かりやすく解説しています。特に、初学者がつまずきやすい変分法について図を用いて分かりやすく解説してくれています。

解析力学の基本を理解したいアナタにオススメ!

前野昌弘、『よくわかる解析力学』、東京図書、2013
【難易度:★★☆☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

解析力学の基礎を理解したい人には、先ほどの『よくわかる初等力学』の姉妹本であるこの本がオススメです。
『よくわかる初等力学』に比べて若干難易度は高めですが、豊富な図などを用いて徹底的に解説する著者の姿勢は大変素晴らしいです。
また、入門書としては珍しく量子力学へのつながりも簡単に解説されていますなお前著同様、演習問題の解答は本には掲載されていませんが、著者のホームページでダウンロード出来ます。

現代物理学を意識した、解析力学の教科書!

畑浩之、『基幹講座 物理学 解析力学』、東京図書、2014
【難易度:★★★☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

この本は『基幹講座 物理学 力学』同様、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんが監修をしている教科書です。
導入部分の解説が古典力学の名著であるランダウ・リフシッツの『理論物理学教程 力学』(後述)の記述を意識してなされている点、及び微分形式や場の理論、量子力学について触れられている点が非常に素晴らしいです。

量子力学への橋渡しを意識した、解析力学の入門書!

高橋康、『量子力学を学ぶための解析力学入門』、講談社サイエンティフィク、2014
【難易度:★★☆☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

量子力学への橋渡しを特に意識して書かれた解析力学の本がこの本です。
断熱定理、場の理論への方程式の拡張が述べられていたり、量子論への拡張がしやすい形で方程式が解説されている点が評価出来ますなお、演習問題のうち数問は解答が省略されています。

古典力学の問題演習をしたい人への4冊

サクッとニュートン力学の問題演習をしたいアナタにオススメ!

馬場敬之・高杉豊、『演習 力学』、マセマ、2016
【難易度:★☆☆☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

ニュートン力学の問題演習をサクッとこなしたい人にオススメなのがこの本です。
ニュートン力学の基礎的な問題が収録されています他のマセマシリーズ同様大変分かりやすいですなお、解析力学については解説されていません。

ニュートン力学から解析力学の初歩までをまとめた、コンパクトな問題集!

今井功 他、『演習 力学』、サイエンス社、2006
【難易度:★★☆☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★★★☆☆】

ニュートン力学から解析力学の初歩までの内容を要領よく演習したい人にオススメなのがこの本です。
例題と演習問題で分かれているため、まず例題をすべてやり終えてから演習問題をじっくりこなす、あるいは例題と演習問題を並行して学んでいくなど用途に合わせた使い方が出来ます。

収録問題数758問!辞書として持っておきたい問題集!

後藤憲一・山本邦夫・神吉健、『詳解 力学演習』、共立出版、2007
【難易度:★★★☆☆ ボリューム:★★★★★ 網羅性:★★★★★】

演習書として古くから使われ続けている本としてこの本があります。
この本はニュートン力学の初歩から始め、解析力学、そして特殊相対論を用いた古典力学の問題も収録されています収録問題数は758問とかなり豊富であり、網羅性という点において他の演習書の追随を許さない本であると言えます。
全てこなすのは現実的ではありませんが、分からない問題を調べるための辞書として有用であるため、しっかりと古典力学を勉強したいという人はぜひ持っておきたい1冊です。

現代物理学へのつながりを意識した好個な問題集!

江沢洋・中村孔一・山本義隆、『演習詳解 力学』、日本評論社、2011
【難易度:★★★★☆ ボリューム:★★★★☆ 網羅性:★★★★☆】

ニュートン力学の問題を現代物理学へのつながりを意識して解説している問題集としてこの本があります。
潮汐力やコマの問題などが詳しく解説されています問題の内容は高度ですが、教育的な問題が多いため大学院進学を目指している学部生は一読の価値ありです!

より深く古典力学を学びたい人への4冊

古典力学史を学ぶ人のバイブル!

山本義隆、『古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ―』、日本評論社、1997
【難易度:★★★★☆ ボリューム:★★★☆☆ 網羅性: ― 】

ニュートン力学と解析力学を学び終えた後、古典力学の発展の歴史に興味を持った人もいるかもしれません。
そんな人へオススメなのがこの本です。本書ではニュートン力学から解析力学への発展が生き生きと描かれています。ニュートン力学の解説はニュートン自身が表した『プリンキピア』に依っているため、現代的な手法とは異なり幾何学を用いる箇所が多いですが、それだけに当時の香りを感じることが出来ることでしょう。
なお、この本はあくまでも古典力学の発展史を理解するための本なので、この本を読んでも古典力学の問題が解けるようにはなりません。

物理学徒の登竜門!ランダウによる理論物理学教程!

ランダウ・リフシッツ、『理論物理学教程 力学』、東京図書、2014
【難易度:★★★★☆ ボリューム:★★★☆☆ 網羅性:★★★☆☆】

古典力学、特に解析力学について詳述している名著として有名な本としてランダウ・リフシッツによる本が挙げられます。
総ページは214頁ですが、情報の密度が非常に濃いため決してサクッと読めるものではありません。演習問題も非常に難易度が高く解説があっさりしていますが、1問1問に著者の明確な出題意図があり非常に教育的な問題が多いです大学院進学を目指す学部生はぜひ読んでおきたい1冊です。
なお、中心力問題や剛体の問題についてはかなり詳述されていますが、量子力学への発展については書かれていません

解析力学の初歩からカオスまで、現代的視点からまとめた名著!

ゴールドスタイン・ポール・サーフコ、『古典力学(上)・(下)』、吉岡書店、2011・2013
【難易度:★★★★☆ ボリューム:★★★★★ 網羅性:★★★★☆】

量子力学や力学系、カオスなど現代物理学を見据えながら古典力学を勉強したい、そんな人にはランダウの力学よりもこちらの本をオススメします。
ページ数・問題数はランダウよりも多いですがその分ランダウよりも現代的な内容に重点が置かれて書かれています。
なお、演習問題の解答は本書にはありませんが、日本の物理学者が独自に執筆したものが吉岡書店より別冊で販売されています。

日本が誇る古典力学の名著!

山本義隆・中村孔一、『解析力学I・II』、朝倉書店、1998
【難易度:★★★★★ ボリューム:★★★★★ 網羅性:★★★★☆】

この本は解析力学の数学的構造を始め、量子力学や力学系など古典力学の先にある分野とのつながりについて豊富な例を用いて解説している本であり、日本が誇る古典力学の名著です!
この本を読み進めていくことで、解析力学の本質を理解することが出来ます。
しかし、それだけに難易度も高く、2冊の総ページは600頁弱とかなりボリューミーです軽い気持ちで読める本ではありませんが、大学院進学、特に理論物理学専攻を目指す学部生はぜひこの本とじっくりと格闘してほしいと思います。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか?
入門書を探している人、演習書を探している人、発展的な本を探している人、様々かもしれませんが少しでもこの記事が皆さんの参考になることを願って筆をおきたいと思います

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