【永久保存版!】現役大学生が教える電磁気学のオススメ参考書

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

物理学科の学生が古典力学の次に勉強するのが電磁気学という学問です。電磁気学は主に1~2年次に講義が開講されますがやや抽象的であるため、古典力学に比べて躓く学生が多い傾向にあります。

ここでは皆さんが図書館や書店で簡単に手に取れる本をピックアップするため、絶版になっている本は省き、和書に限定して紹介していきたいと思います。

電磁気学を勉強する前に

電磁気学とはどういう学問か

さて、学部の電磁気学のポイントは大きく分けて3つです。

1つ目はベクトル解析を用いて電磁気学を整理することです。誤解を恐れずに言えば、大学の電磁気学とは高校で習った電磁気学の公式を忘れることです。

これは換言すれば、電磁気学の基礎方程式はマクスウェル方程式という4本の方程式に集約される事を理解するということです。

今まで高校の物理で丸暗記していた公式をマクスウェル方程式という形で深く理解していく、これが学部の電磁気学の学習において最も重要な目標です。

2つ目は特殊相対性理論を理解することです。アインシュタインは電磁気学の問題から特殊相対性理論につながるアイデアを思いつきました。
従って、電磁気学を理解することは特殊相対性理論という現代物理学の門を叩くということでもあるのです。

3つ目は物質中の電磁気学について学習し、半導体や磁性体で起こる現象を理解することです。これは物性物理学の入門であると同時にマクスウェル方程式を使いこなすための良い練習問題です。

これらは重要な点であると同時に、学生が躓きやすいところでもあります。電磁気学を勉強する時はこれら3つについて理解することを目標に頑張りましょう。

電磁気学に必要な物理数学

前述の通り、電磁気学にはベクトル解析という数学的手法が必要です。大学の電磁気学では電場・磁場を空間上のベクトル場として扱います。

名前から明らかなように、この空間上のベクトル場を解析する数学的手法がベクトル解析なのです。従って、電磁気学を勉強するための物理数学として、ベクトル解析が必要不可欠になってきます。

ちなみに、特殊相対性理論やその先の一般相対性理論をより深く勉強するためにはテンソル場を解析する数学的手法としてテンソル解析についても学ぶ必要があります。

電磁気学の基礎を理解したい人への4冊

電磁気学をサクッとマスターするならコレ!

馬場敬之、『電磁気学』、マセマ、2017
【難易度:★☆☆☆☆ ボリューム:★☆☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

単位取得が危ういので電磁気学の基礎をサクッとマスターしたいという人にはこの本がオススメです。

発展的な問題は扱っていませんが、電磁気学の基礎を例題を交えて分かりやすく解説しています。なお、マセマのシリーズはそれぞれの分野をマスターするために最低限必要な知識が分かりやすくまとめられているので、新しい分野を勉強する時の1冊にオススメです。

電磁気学の基本を理解したいアナタにオススメ!

前野昌弘、『よくわかる電磁気学』、東京図書、2010
【難易度:★☆☆☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★☆☆☆☆】

電磁気学の基礎を理解したい人には、前述のマセマのほかにこの本もあります。FAQや補足という形で初学者が疑問に思いやすいところを徹底的に解説しています。
なお、演習問題の解答は本には掲載されていませんが、著者のホームページでダウンロード出来ます。

初学者が読みやすいように工夫が凝らされた電磁気学の入門書!

砂川重信、『電磁気学 初めて学ぶ人のために』、培風館、1997
【難易度:★☆☆☆☆ ボリューム:★☆☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

この本は『理論電磁気学』(後述)で有名な砂川重信さんが執筆した入門書です。
各内容について導入の後例題を解説するというスタイルを取っています。
難易度はマセマシリーズ・よくわかるシリーズと同じくらいですが、同著者による『電磁気学』、『電磁気学演習』、『理論電磁気学』と同じ言い回しをしている箇所が多いため、後々それらの本を読みたいと思っている人はマセマシリーズ・よくわかるシリーズではなくこちらをオススメします。

しっかりと電磁気学を理解していきたい人にオススメ!

砂川重信、『電磁気学』、岩波書店、1987
【難易度:★★☆☆☆ ボリューム:★☆☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

こちらも砂川重信さんによる電磁気学の入門書です。
先程の本と比べると、例題をかなり厳選して紙数を節約している代わりに物質中の電磁気学や電磁波についてより詳細に解説をしています。根気強くしっかり計算を追っていく自信のある人はこの本を1冊目にしても良いでしょう。

電磁気学の問題演習をしたい人への5冊

サクッと電磁気学の問題演習をしたいアナタにオススメ!

馬場敬之・高杉豊、『演習 電磁気学』、マセマ、2016
【難易度:★☆☆☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】

電磁気学の問題演習をサクッとこなしたい人にオススメなのがこの本です。
電磁気学の基礎的な問題が収録されています。他のマセマシリーズ同様大変分かりやすいです。理論的な側面を問う問題よりも、法則を利用した計算問題が多く収録されています。

電磁気学の初歩をまとめた、コンパクトな問題集!

山村泰道・北川盈雄、『電磁気学演習』、サイエンス社、2004
【難易度:★★☆☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★★★☆☆】

電磁気学の内容を要領よく演習したい人にオススメなのがこの本です。
例題と演習問題で分かれているため、まず例題をすべてやり終えてから演習問題をじっくりこなす、あるいは例題と演習問題を並行して学んでいくなど用途に合わせた使い方が出来ます。

電磁気学のエッセンスを凝縮した、標準的な問題集!

砂川重信、『電磁気学演習』、岩波書店、1987
【難易度:★★★☆☆ ボリューム:★★☆☆☆ 網羅性:★★★☆☆】

前述の砂川重信さんの電磁気学の教科書を終えた人にオススメなのがこの本です。例題と演習問題で分かれていますが、例題と演習問題で完結するように作られている問題もあります。また、中には後述の『理論電磁気学』と同水準の難しい問題もあります。

収録問題数895問!辞書として持っておきたい問題集!

後藤憲一・山崎修一郎、『詳解 電磁気学演習』、共立出版、1970
【難易度:★★★★☆ ボリューム:★★★★★ 網羅性:★★★★★】

演習書として古くから使われ続けている本としてこの本があります。
この本は電磁気学の初歩から始め、電気回路、そして特殊相対論を用いた電磁気学の問題も収録されています。収録問題数は895問とかなり豊富であり、網羅性という点において他の演習書の追随を許さない本であると言えます。
全てこなすのは現実的ではありませんが、分からない問題を調べるための辞書として有用であるため、しっかりと電磁気学を勉強したいという人はぜひ持っておきたい1冊です。

現代物理学へのつながりを意識した好個な問題集!

霜田光一・近角聰信他、『大学演習 電磁気学』、裳華房、1980
【難易度:★★★★☆ ボリューム:★★★★☆ 網羅性:★★★★☆】

こちらの本は『詳解 電磁気学演習』と本の特徴は殆ど同じで、かなりボリュームがあります。
しかし、『詳解 電磁気学演習』と違って問題ごとに[A]、[B]、[C]と難易度されているため、取り組む問題の取捨選択を行いながら段階的に演習をしていきたい人にはこちらをオススメします。
また、SI 単位系とガウス単位系、2つの単位系を用いてそれぞれで同じ問題の解説を行っているため、その点でも『詳解 電磁気学演習』と違った需要があります。

ちょっと寄り道したい人への2冊

電気回路について学習してみたい人への入門書!

永田博義、『基礎から学ぶ電気回路計算』、オーム社、2015
【難易度:★☆☆☆☆ ボリューム:★☆☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】
電磁気学の基礎を学び終えた後、電気回路に興味を持った人もいるかもしれません。
そんな人へオススメなのがこの本です。
この本は電磁気学の中でも電気回路の計算に内容を集中して詳しく書かれています。電気回路は工学系の学科では必修科目になっていることもありますが、物理学科では必修になっていない場合も多いので、このへんの入門書から始めてみるのがよいでしょう。

光学について学習してみたい人への入門書!

青木貞雄、『光学入門』、共立出版、2002
【難易度:★★☆☆☆ ボリューム:★☆☆☆☆ 網羅性:★★☆☆☆】
電磁気学の基礎を学び終えた後、光学に興味を持った人もいるかもしれません。
そんな人へオススメなのがこの本です。この本は電磁気学の中でも光学、特に幾何光学と波動光学について書かれています。将来実験系に進む人は実験で光学の知識を必要とする場合があるので、気になったら参照してみると良いでしょう。

より深く電磁気学を学びたい人への4冊

電磁気学を本格的に学ぶ人のバイブル!

砂川重信、『理論電磁気学』、紀伊國屋書店、1999
【難易度:★★★★☆ ボリューム:★★★★☆ 網羅性:★★★☆☆】

電磁気学を本格的に学びたい人へ真っ先にオススメしたいのがこの本です。
1つ1つの法則について順番にまとめて、最後にマクスウェル方程式としてまとめるという多くの電磁気学の教科書がとっているスタイルと違い、初めにマクスウェル方程式4本を提示してそこから1つずつじっくりと解説するという硬派なスタイルを取っています。
前述の通り、入門書も執筆されているのでそちらをやり終わったあとでこちらに取り組むと良いと思います。

理論電磁気学とは違った味を持つ、隠れた名著!

高橋秀俊、『電磁気学』、裳華房、1959
【難易度:★★★★☆ ボリューム:★★★☆☆ 網羅性:★★★☆☆】

電磁気学の本格的な教科書というとやはり前述の『理論電磁気学』が最も有名ですが、隠れた名著としてこちらの本もあります。
こちらの本には物質中の電磁気学や電気回路が『理論電磁気学』よりも詳しく書かれているという特徴があるため、それらの項目に興味がある人はこちらの本を選択してみても良いでしょう。

電磁気学史の解説にも重きが置かれた、本格的な教科書!

太田浩一、『電磁気学の基礎I・II』、東京大学出版会、2012
【難易度:★★★★☆ ボリューム:★★★★☆ 網羅性:★★☆☆☆】

上記2冊の本とは違って、電磁気学史に即して電磁気学を解説しているのがこの本の特徴です。また、出版されたのが最近なので、特殊相対性理論など現代物理学につながる内容に紙数を多く割いているという特徴があります。

電磁気学の名著!

ジャクソン、『電磁気学 上・下』、吉岡書店、2002
【難易度:★★★★★ ボリューム:★★★★★ 網羅性:★★★★★】

この本は様々なポアソン方程式の解き方やグリーン関数の計算手法を説明したり、電磁波の放射や散乱といった発展的な話題を漏らさず解説している電磁気学最高の名著です!
この本を読み進めていくことで、かなり高い水準で電磁気学を理解することが出来ます。
しかし、それだけに難易度も高く、2冊の総ページは1200頁弱とかなりボリューミーです。軽い気持ちで読める本ではありませんが、興味のある内容だけ選んで読むだけでもかなりの力がつくと思います。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか?
入門書を探している人、演習書を探している人、発展的な本を探している人、様々かもしれませんが少しでもこの記事が皆さんの参考になることを願って筆をおきたいと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。