ベクトル解析演習12
今回はスカラー場の勾配の問題演習をしましょう。
要点のまとめ
以下、微分可能性を議論するのは面倒なので、スカラー関数やベクトル関数は全て滑らかであると仮定します。物理や工学での応用上はこれで充分です。また、定義域も空間全体R3とします。
スカラー場f(x,y,z)に対してベクトル場(fx,fy,fz)をfの勾配(グラディエント)といい、grad fとあらわします。∂∂xを∂∂xf=∂f∂xで定義し、∇=(∂∂x,∂∂y,∂∂z)とおくと、
∇f=(∂f∂x,∂f∂y,∂f∂z)=grad f
と書けます。∇はナブラと読みます。物理や工学では伝統的に∇fと書くことが多いですが、数学ではgrad fとあらわすことが多いです。これを勾配という理由は方向微分係数を最大にするベクトル場になっているからです。
問題12
次のスカラー場fの勾配∇fを求めよ。
(1)
f(x,y,z)=yz+zx+xy
(2)
f(x,y,z)=sinxsinycosz
(3)
f(x,y,z)=zx2+y2
(4)
f(x,y,z)=12e−(x2+y2+z2)
(5)
f(x,y,z)=coshxcoshycoshz
(6)
f(x,y,z)=xyz
解答12
(1)
∇f=(y+z,z+x,x+y)
(2)
∇f=(cosxsinycosz,sinxcosucosz,−sinxsinysinz)
(3)
∇f=(−2xz(x2+y2)2,−2yz(x2+y2)2,1x2+y2)
(4)
∇f=−exp{−(x2+y2+z2)}(x,y,z)
(5)
∇f=(sinhxcoshycoshz,coshxsinhycoshz,coshxcoshysinhz)
(6)
∇f=(yz−1,xz−1,−xyz−2)=(yz,xz,−xyz2)