弦理論入門06
点粒子から弦へ
第一励起状態、
ai†1|k,0⟩ with M2=D−2624α′
について考えることにしよう。この形をとる全ての状態は、横方向の空間の回転群SO(D−2)の下でベクトルとして変換する。このことは、弦の励起は質量をもたない必要があり、それ故にミンコフスキー時空におけるボソン弦理論はD=26次元でのみ辻褄が合うということを示唆している。この議論は次のように続けられる。D=3の場合、R3,1における質量のない表現の小群はISO(2)であり、これは2次元ユークリッド時空における運動の群である。ISO(2)の部分群はSO(2)であり、これは2次元ユークリッド時空の回転に対応している。これとは反対に、質量のある表現の場合の小群はSO(3)となる。この結果は以前論じたやり方と同様にして、任意のDについて一般化することが出来る。もし、小群がSO(D−1)ではなくSO(D−2)を含むのであれば、表現を構成する状態は質量を持たない状態となる必要がある。状態ai†1|k,0⟩はSO(D−2)の下でベクトルとして変換するので、これらの状態は質量を持たない必要があり、それ故にD=26次元にならなければならないと結論されるのである。
以前論じたように、古典論では任意のD次元におけるローレンツ変換の下で不変であるが、量子論においてはその限りではなく、ボソン弦理論においてローレンツ変換の下で不変なのはD=26に限られる。換言すれば、アノマリーが消えるのはD=26次元のみである。
ゲージ粒子によるモードai†1|k,0⟩の決定も行いたくなる。これもあとで実例を見ることになる。
練習問題
光錐ゲージにおいて、d個のND 方向をもつ開弦の量子化を行え。ここでは少なくとも2つのNN 方向があると仮定している。弦の状態を構成し、それらの質量が
M2=1α′(D−2∑i=1∞∑n=1nNin+a)+(Δx2πα′)2
で与えられることを示せ。但し、aは
a=−D−224+d
である。最後の項は距離Δxで隔てられた2枚のD ブレーンの間を伸びる開弦の質量の寄与をあらわしている。
解答
ND 境界条件を満たすモード展開は、
XM(τ,σ)=xMf+i√2α′∑n∈Z+12αMnne−inτcos(nσ)
で与えられる。
Πi=δLδ(∂τXi)=12πα′γσσ∂τXi=p+πXi
を用いると、
ΠM(τ,σ)=1π√2α′∑n∈Z+12αMne−inτcos(nσ)
となる。これらより、同時刻交換関係は以下のように書くことが出来る。
iδ(σ−σ′)=[XM(τ,σ),ΠM(τ,σ)]=iπ∑n,n′∈Z+121n[αMn,αMn′]e−i(n+n′)τcos(nσ)cos(n′σ)
以下、m=n+n′∈Zとする。左モードはτに依存しないので、右モードのe−imτはm≠0で消えなければならず、
1π∑n∈Z+121n[αMn,αMm−n]cos(nσ)cos((m−n)σ)=δ(σ−σ′)δm,0
となる。