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【弦理論入門23】超弦理論の基礎13

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弦理論入門23

M 理論におけるM ブレーン

M理論とは、弦理論を包括的に統一する11次元の理論である。この理論は、弦理論の強結合極限を研究する中で提唱されたものであり、弦理論の背後に存在するより根本的な構造を示唆している。具体的には、5つの10次元超弦理論(タイプI弦理論、タイプIIA弦理論、タイプIIB弦理論、ヘテロSO(32)弦理論、ヘテロE8×E8弦理論)と11次元超重力理論を1つの枠組みで統一する。

M理論の「M」には様々な解釈が与えられており、「膜(membrane)」、「魔法(magic)」、「母(mother)」などがその例である。理論の詳細は未だ完全には理解されていないが、いくつかの重要な特徴が知られている。その中心的なアイデアの一つが、M理論における基本的な構造が一次元的な「弦」ではなく、二次元的な「膜(M2ブレーン)」や五次元的な「5次元膜(M5ブレーン)」として記述されるという点である。これらの高次元的な構造物は、弦理論の様々な現象を統一的に説明する役割を果たす。

M理論は11次元時空を舞台としており、この次元数は超対称性と一貫性の要請から決定される。特に、11次元超重力理論はM理論の低エネルギー極限として現れる。この理論では、11次元の時空が適切な方法でコンパクト化されることによって、10次元超弦理論が導かれる。例えば、11次元の1つの次元を円状にコンパクト化すると、タイプIIA弦理論が得られる。このような関係を通じて、M理論は超弦理論の間の双対性(S双対性やT双対性)を統一的に説明する枠組みを提供する。

また、M理論はブラックホールや宇宙の起源といった物理の根本的な問題にも重要な示唆を与える。特に、M理論ではDブレーンやMブレーンを用いてブラックホールのエントロピーを計算する方法が提供され、ホーキングの予測したブラックホールエントロピーとの一致が確認されている。この成果は、量子重力理論としてのM理論の可能性を示唆している。

M理論は未完成な理論であり、その完全な定式化はまだ達成されていない。しかし、M理論は弦理論の深い統一的理解を提供し、物理学の究極理論に向けた重要な道筋であると考えられている。その発展は理論物理学の最前線にあり、時空や物質の本質を探る鍵として注目されている。

11次元の超重力理論は3階の反対称テンソル場A_{(3)}しか有していないので、実現可能なブレーンの選択肢は非常に制限されたものとなる。コンシステントな超重力理論の解はM2 ブレーンと呼ばれる2 ブレーンと、その磁気的な双対であるM5 ブレーンである。

平坦な時空でのN枚の重なったM2 ブレーンの塊は以下のように場の源泉となっている。

\begin{equation} \begin{aligned} \mathrm { d } s ^ { 2 } & = H ( r ) ^ { – 2 / 3 } \eta _ { \mu \nu } \mathrm { d } x ^ { \mu } \mathrm { d } x ^ { \nu } + H ( r ) ^ { 1 / 3 } \left( \mathrm { d } r ^ { 2 } + \mathrm { d } r ^ { 2 } \mathrm { d } \Omega _ { 7 } ^ { 2 } \right) \\ A _ { ( 3 ) } & = H ( r ) ^ { – 1 } \mathrm { d } x ^ { 0 } \wedge \mathrm { d } x ^ { 1 } \wedge \mathrm { d } x ^ { 2 } \end{aligned} \end{equation}

但し、\mu,\nu=0,1,2はM2 ブレーンの世界体積座標のラベルである。関数H(r)と固有長さスケールLは以下で与えられる。

\begin{equation} H ( r ) = 1 + \frac { L ^ { 6 } } { r ^ { 6 } } , \quad L ^ { 6 } = 32 \pi ^ { 2 } N l _ { p } ^ { 6 } \end{equation}

更に、M2 ブレーンの磁気的双対であるM5 ブレーンも存在する。対応する超重力理論の解は以下で与えられる。

\begin{equation} \mathrm { d } s ^ { 2 } = H ( r ) ^ { – 1 / 3 } \eta _ { \mu \nu } \mathrm { d } x ^ { \mu } \mathrm { d } x ^ { \nu } + H ( r ) ^ { 2 / 3 } \left( \mathrm { d } r ^ { 2 } + r ^ { 2 } \mathrm { d } \Omega _ { 4 } ^ { 2 } \right) \end{equation}

\begin{equation} A _ { ( 6 ) } = H ( r ) ^ { – 1 } \mathrm { d } x ^ { 0 } \wedge \mathrm { d } x ^ { 1 } \wedge \cdots \wedge \mathrm { d } x ^ { 5 } \end{equation}

但し、H(r)は調和関数であり、

\begin{equation} H ( r ) = 1 + \frac { L ^ { 3 } } { r ^ { 3 } } \end{equation}

が成り立つ。但し、L^3=\pi Nl_p^3であり、A_{(6)}A_{(3)}の双対である。

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