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【統計物理学】第02講 イントロダクション

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非対称排他過程の概略

非対称排他過程(Asymmetric Exclusion Process)の典型的な例として、1次元格子上に粒子がいっぱいいるとして、各粒子が確率的に移動するという問題を考える。粒子は次の2つのルールに従って移動する。

  • 各粒子は各時刻で、もし右隣のサイトが空いている場合に限り、確率pで飛び移る。
  • もし右隣のサイトが他の粒子に占有されていたら、飛び移ることは出来ない。

2番目のルールが排他的相互作用に対応している。下図では説明の都合上、3個の粒子を描いている。

 


図5 非対称排他過程の例

これは後半にやる非平衡統計力学のモデルであり、Kardar-Parisi-Zhang 普遍クラスと呼ばれる。6頂点模型は平衡統計力学のモデルだったが、実は6頂点模型はKardar-Parisi-Zhang 普遍クラスとつながりがある。

確率的6頂点模型の概略

確率的6頂点模型とは6頂点模型の一種である。まず、後の便宜のために次のような略記法を更に導入する。

 


図6 確率的6頂点模型の略記図

 

そして、0δ1<10δ2<1を用いて(ω1,ω2,ω3,ω4,ω5,ω6)=(1,1,δ1,δ2,1δ1,1δ2)とする。これが確率的6頂点模型の設定である。境界条件のあるZ21上の確率6頂点模型を、簡単のためにδ1=0として考えよう。

 


図7 境界条件のあるZ21上の確率的6頂点模型(δ1=0

 

 


図8 図7に対応したランダムウォークの図

 

右側の粒子から順に粒子を粒子A、B、C と名付ける。

粒子A はt01となるときにδ22(1δ2)12となるときに(1δ2)23となるときにδ2(1δ2)という重みになる。

粒子B は01となるときは排他効果で1になる。t12となるときに(1δ2)23となるときは排他効果で1になる。

粒子C はt01となるときと12となるときは排他効果で1になる。23となるときにδ2(1δ2)という重みになる。

確率的6頂点模型は前小節で説明したモデルと違って1マス以上飛び移ることが出来ているが、これも非対称排他過程の1種である。

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