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量子力学における物質の波動性
量子力学において、物質は波動性を持つという特徴を示します。この性質は、フランスの物理学者ルイ・ド・ブロイによって提唱され、電子回折実験などによって実証されました。今回は、数式を用いてド・ブロイ業績、物質の波動性について詳しく説明します。
ド・ブロイ波長
ド・ブロイは、物質粒子に波動性があると仮定し、その波長を以下の式で表しました。
\begin{equation}
\lambda = \frac{h}{p}
\end{equation}
ここで、\lambdaは波長(ド・ブロイ波長)、hはプランク定数(6.626 \times 10^{-34} \, \mathrm{J \cdot s})、pは粒子の運動量(p = mv, mは質量、vは速度)です。
この式は、光の波動性と粒子性を統一的に説明したプランクやアインシュタインの業績に基づいています。
物質波の実験的確認
物質の波動性は、デイヴィソンとジャーマーによる電子回折実験(1927年)によって確認されました。この実験では、ニッケル結晶に電子を入射し、回折パターンが観測されました。回折条件は以下のブラッグの条件に従います。
\begin{equation}
n\lambda = 2d\sin\theta
\end{equation}
ここで、nは回折の次数、dは結晶面間隔、\thetaは入射角、\lambdaは電子の波長(ド・ブロイ波長)です。
電子の運動エネルギーE_k = \frac{1}{2}mv^2を用いて速度vを求め、運動量p = mvを計算することで波長が得られます。この波長が実験で観測された波長と一致したことにより、物質波の存在が確認されました。
シュレーディンガー方程式
物質波の波動性は、シュレーディンガー方程式を用いて数学的に記述されます。時間に依存するシュレーディンガー方程式は以下の通りです。
\begin{equation}
i\hbar \frac{\partial \psi(x,t)}{\partial t} = -\frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial x^2} + V(x) \psi(x,t)
\end{equation}
ここで、iは虚数単位、\hbar = \frac{h}{2\pi}は換算プランク定数、\psi(x,t)は波動関数、V(x)は位置に依存するポテンシャルエネルギーです。
波動関数の絶対値の二乗|\psi(x,t)|^2は、粒子が位置xに存在する確率密度を表します。この波動関数を用いて、粒子の波動的性質が記述されます。
シュレーディンガー方程式についてはこの後のコラムで詳しく扱っていきます。ここでは、量子力学の基礎方程式としてこのような方程式があるのだということのみ理解すれば良いです。
不確定性原理との関係
物質波の波動性は、不確定性原理とも密接に関係しています。不確定性関係は位置をx、運動量をpをしたときに、以下の不等式が成り立ちます。
\begin{equation}
\Delta x \cdot \Delta p \geq \frac{\hbar}{2}
\end{equation}
波動性により、粒子の位置と運動量を同時に正確に知ることができないことが示されます。これは、波動関数の広がりを考慮する際に生じる量子力学的な制限です。
波束と粒子の振る舞い
物質波は波束として記述されます。波束は複数の波が干渉して形成され、次の式で表されます。
\begin{equation}
\psi(x,t) = \int_{-\infty}^{\infty} A(k) e^{i(kx – \omega t)} dk
\end{equation}
ここで、A(k)は波数kにおける振幅、kは波数(k = \frac{2\pi}{\lambda})、\omegaは角周波数です。
波束の分散は時間とともに広がるため、粒子の位置や運動量を観測する際の波動性の影響を考慮する必要があります。
今回のまとめ
物質波の波動性は、量子力学の核心的な特徴であり、粒子と波動の二重性を明確に示しています。ド・ブロイ波長、シュレーディンガー方程式、不確定性原理を通じて、物質の波動性が理論的および実験的に理解されています。この概念は、現代物理学の発展において重要な役割を果たしています。