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【量子力学入門04】物質の運動量

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物質の運動量

古典力学と量子力学は、物理学における異なるスケールで物質の振る舞いを記述します。この2つの理論における運動量の扱いは、それぞれの枠組みにおける基本的な違いを反映しています。本稿では、古典力学と量子力学における運動量の定義と性質を比較し、特にド・ブロイ理論による波動性の導入がどのように量子力学に影響を与えたかを数式を用いて解説します。

古典力学における運動量

まず簡単に古典力学における運動量について復習しておきましょう。古典力学では、運動量pは物体の質量mと速度vの積として定義されます。
\begin{equation} \bm{p} = m \bm{v} \end{equation}
ここで運動量はベクトル量であり、力学系における保存則において重要な役割を果たします。ニュートンの運動方程式において、運動量の時間変化は外力に等しいとされています。
\begin{equation} \frac{d\bm{p}}{dt} = \bm{F} \end{equation}
ここでFは力を表します。

古典力学では、物体は粒子として扱われ、その運動は確定的であり、運動量と位置を同時に正確に測定できます。

量子力学における運動量とド・ブロイ理論

一方で前回扱った通り、量子力学では粒子は波動としての性質を持つとされ、この概念はド・ブロイ理論によって定式化されました。ド・ブロイは、すべての物質粒子に波長\lambdaが対応すると提案しました。その波長は次の関係式で表されます。
\begin{equation} \lambda = \frac{h}{p} \end{equation}
ここで、\lambdaはド・ブロイ波長(m)、hはプランク定数(6.626 \times 10^{-34} \, \mathrm{J\cdot s})、pは運動量(kg\cdotm/s)です。

この式は、運動量が大きいほど波長が短くなることを示しており、高速で移動する重い粒子では波動性が観測しにくくなることを意味します。

波動性の導入と運動量の新たな解釈

量子力学では、運動量pは波動関数の空間変化に関連付けられます。波数kを用いると、次式が成り立ちます。
\begin{equation} p = \hbar k \end{equation}
この関係式により、運動量は波動性を直接的に反映する量として再解釈されます。

シュレーディンガー方程式との関係

波動関数\psi(x,t)を用いたシュレーディンガー方程式では、運動量演算子\hat{p}が次のように定義されます。
\begin{equation} \hat{p} = -i\hbar\frac{\partial}{\partial x} \end{equation}
この演算子は、波動関数に作用して運動量に対応する固有値を得る役割を果たします。

古典力学と量子力学の運動量の違い

確定性と不確定性

古典力学では、運動量pと位置xは同時に正確に測定可能です。しかし、量子力学では、ハイゼンベルクの不確定性原理が成り立ちます。
\begin{equation} \Delta x \cdot \Delta p \geq \frac{\hbar}{2} \end{equation}
ここで、\Delta x\Delta pはそれぞれ位置と運動量の不確定性を表します。この原理により、量子力学における運動量は確定的な値としてではなく、波動関数の分布として解釈されます。

波動性の影響

古典力学では運動量は粒子的な性質を反映しますが、量子力学では波動性を含むため、回折や干渉といった現象を説明する際に重要です。例えば、電子回折実験は、ド・ブロイ波長の正確さを実験的に確認した例です。

今回のまとめ

古典力学と量子力学における運動量の違いは、両者の物理的世界観を象徴しています。古典力学では運動量は質量と速度の積として確定的に扱われますが、量子力学では波動性を反映し、不確定性を伴います。ド・ブロイ理論は、運動量に波動性を導入し、現代物理学における重要な概念を築きました。この違いを理解することが量子力学をマスターするための重要な一歩です。

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