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【量子力学入門12】波動論の復習

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波動論と量子力学の基礎

波動論は物理学において重要な分野であり、音、光、振動などさまざまな現象を記述する基本的な枠組みを提供します。さらに、量子力学の理解にも重要な役割を果たします。本章では、波動論の基本的な概念を復習し、量子力学との関わりを示しながら解説します。

波の基本的性質

波動現象は媒質を通じた振動の伝播として記述されます。以下に波動の基本的な性質を整理します。

波の種類

波は媒質の振動方向に基づき、次の2つに分類されます。

1) 縦波: 媒質の振動方向が波の伝播方向と平行。

例: 音波

2) 横波: 媒質の振動方向が波の伝播方向に垂直。

例: 光波、水面波

波動の数学的表現

波動は通常、波動関数 ψ(x,t) で表されます。この関数は空間 x と時間 t に依存し、波の振幅を記述します。

平面波の場合、波動関数は次のように記述されます。
ψ(x,t)=Acos(kxωt+ϕ),
ここで、Aは振幅(波の最大値)、kは波数(k=2πλ)、ωは角振動数(ω=2πf)、λは波長、fは周波数、ϕは位相(初期条件による定数)です。

波の速度

波の伝播速度 v は次式で与えられます:
v=fλ=ωk.
この式は波の振動特性と媒質の性質を結び付ける重要な関係式です。

波動方程式

波動の挙動を記述するためには、波動方程式が用いられます。

一次元波動方程式

一次元波動方程式は次のように表されます。
2ψx2=1v22ψt2.
この式は、波動が媒質内をどのように伝播するかを記述します。

解の一般形

一次元波動方程式の一般解は次の形をとります。
ψ(x,t)=f(xvt)+g(x+vt),
ここで、fg は任意の関数であり、それぞれ右方向および左方向に伝播する波を表します。

波の干渉と回折

波動は重ね合わせ原理に従うため、干渉や回折のような現象を示します。

干渉

波の干渉とは、2つ以上の波が重なり合ったときに振幅が変化する現象です。重ね合わせ原理により、合成波 ψ は次のように記述されます。
ψ(x,t)=ψ1(x,t)+ψ2(x,t).
特に、強め合いのときは振幅が大きくなり、弱め合いのときは振幅が小さくなります。

回折

回折とは、波が障害物やスリットを通過する際に曲がる現象です。フラウンホーファー回折の解析にはフーリエ変換が用いられます。

波動論と量子力学

量子力学では、粒子は波動としての性質を持つことが示され、波動論の概念が重要になります。

物質波

1924年、ド・ブロイは粒子に波動性があることを提唱しました。この波は「物質波」と呼ばれ、その波長 λ は次式で与えられます:
λ=hp,
ここで、hはプランク定数(h6.626×1034;Js)、pは粒子の運動量(p=mv)です。

シュレーディンガー方程式

波動関数 ψ(x,t) を用いる量子力学の基本方程式がシュレーディンガー方程式です。

時間に依存するシュレーディンガー方程式

時間に依存するシュレーディンガー方程式は以下の式です。
iψt=22m2ψx2+V(x)ψ,
ここで、iは虚数単位(i2=1)、は換算プランク定数(=h2π)、V(x)はポテンシャルエネルギーです。

時間に依存しないシュレーディンガー方程式

系が時間に依存しない場合、方程式は次のように簡略化されます。
22md2ψdx2+V(x)ψ=Eψ,
ここで、E はエネルギー固有値です。

波動関数の確率解釈

波動関数 ψ(x,t) は、粒子が位置 x に存在する確率密度を次式で表します。
P(x)=|ψ(x,t)|2.
これにより、波動関数の絶対値の二乗が物理的な意味を持つことが理解されます。

今回のまとめ

波動論は、音や光のような古典的な波動現象を記述するだけでなく、量子力学において粒子の波動性を説明する基盤ともなります。シュレーディンガー方程式を通じて、波動論と量子力学の深い結びつきが示されます。これらの概念を理解することで、自然界の多くの現象を統一的に説明することが可能となります。

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