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【量子力学入門21】極座標の勾配・発散・回転・ラプラシアン

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球座標の勾配・発散・回転・ラプラシアン

量子力学では、系の対称性から球座標を使うと計算が楽になることが多いです。ここでは、このあとの計算の準備として、球座標系 (r,θ,ϕ) における勾配、発散、回転、ラプラシアンの導出を以下に示します。

球座標系の定義

球座標系の座標とデカルト座標系との関係は次の通りです。
x=rsinθcosϕ,y=rsinθsinϕ,z=rcosθ.


逆変換は以下のようになります。
r=x2+y2+z2,θ=arccos(zr),ϕ=arctan2(y,x).

スケールファクターは以下のように定義されます。
hr=1,hθ=r,hϕ=rsinθ.

勾配(Gradient)

スカラー場 f(r,θ,ϕ) に対する勾配は次のように定義されます。
f=frˆer+1rfθˆeθ+1rsinθfϕˆeϕ.

発散(Divergence)

ベクトル場 A=Arˆer+Aθˆeθ+Aϕˆeϕ に対する発散は次のように定義されます。
A=1r2sinθ[r(r2sinθAr)+θ(rsinθAθ)+ϕ(rAϕ)].


これを展開すると次のようになります。
A=1r2r(r2Ar)+1rsinθθ(sinθAθ)+1rsinθAϕϕ.

回転(Curl)

ベクトル場 A=Arˆer+Aθˆeθ+Aϕˆeϕ に対する回転は次のように定義されます。
×A=1r2sinθ|ˆerrˆeθrsinθˆeϕrθϕArrAθrsinθAϕ|.


これを展開すると各成分は以下のようになります。
(×A)r=1rsinθ[θ(Aϕsinθ)Aθϕ],

(×A)θ=1r[1sinθArϕr(rAϕ)],

(×A)ϕ=1r[r(rAθ)Arθ].

ラプラシアン(Laplacian)

スカラー場 f(r,θ,ϕ) のラプラシアンは次のように定義されます。
2f=1r2r(r2fr)+1r2sinθθ(sinθfθ)+1r2sin2θ2fϕ2.

球座標のラプラシアンはいつ使うか

球座標のラプラシアンは、量子力学における角運動量、波動関数の分離変数法、エネルギー固有値の計算において不可欠です。

特に、水素原子の問題や3次元の調和振動子の問題、そして散乱問題などで重要な役割を果たします。

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