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第31講:テータ関数とペー関数

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テータ関数とペー関数

シグマ関数との関係として、以前、以下の式を議論した。
(u)ei=σi(u)σ(u)(i=1,2,3)

これより次の結果を得る。

(u)e1=12ω1ϑ1ϑ2ϑ2(v)ϑ1(v)(u)e2=12ω1ϑ1ϑ3ϑ3(v)ϑ1(v)(u)e3=12ω1ϑ1ϑ0ϑ0(v)ϑ1(v)}

さらに以下の式が成り立つ。
(u)=2(12ω1)3ϑ13ϑ2ϑ3ϑ0ϑ2(v)ϑ3(v)ϑ0(v)ϑ1(v)3=π4ω13ϑ12ϑ2(v)ϑ3(v)ϑ0(v)ϑ1(v)3( 35  (5) による)

(1)の第一式においてu=ω2=ω1ω3v=12τ2とおけば、

e2e1=12ω1ϑ1ϑ2ϑ2(12+τ2)ϑ1(12+τ2)=12ω1ϑ1ϑ2iεϑ0εϑ3=iϑ1ϑ02ω1ϑ2ϑ3=iπ2ω1ϑ02

同様の方法によって次の式を得る。

e2e1=iπ2ω1ϑ02,   e3e1=iπ2ω1ϑ32e1e2=π2ω1ϑ02,   e3e2=iπ2ω1ϑ22e1e3=π2ω1ϑ32,   e2e3=π2ω1ϑ22}

(2)からe1e2e3を求めれば

e1=13(π2ω1)2(ϑ34+ϑ04)e2=13(π2ω1)2(ϑ24ϑ04)e3=13(π2ω1)2(ϑ24+ϑ34)

となる。これと(1)を組み合わせれば(u)が計算できるが、もっと便利なのは次に述べる級数による方法である。無限乗積展開を代入すれば、

σ(u)=2ω1πe2η1ω1v2sinπvn=1(1q2nz2)(1q2nz2)n=1(1q2n)2

となる。この両辺をuに関して(v=u2ω1となることに注意)対数微分すれば

ζ(u)=2η1v+π2ω1cotπvπiω1n=1(q2nz21q2nz2q2nz21q2nz2)

となる。

|q2|<|z2|<|q2|

したがって、

|q2nz2|<1,   |q2nz2|<1

と考えれば上の式の括弧内をzの冪級数に書き直すことができる。この結果を整頓してzの同じべきの項をそれぞれ集めれば次の式を得る、

ζ(u)=2η1v+π2ω1cotπvπiω1n=1q2n1q2n(z2nz2n)=2η1v+π2ω1cotπv+2πω1n=1q2n1q2nsin2nπv

これでζ(u)が計算できる。

ゆえにvが基本周期平行四辺形(011+ττを頂点とするもの)内にあるときは確かにこの条件は満足されている。(4)をさらにuに関して微分すれば、

(u)=(12ω1)2{4η1ω1+π2sin2πv8π2n=1nq2n1q2ncos2nπv}(u)=(π2ω1)3{2cosπvsin3πv+16n=1n2q2n1q2nsin2nπv}

等の式を得る。さて(4)(5)等を用いてζ等の関数を計算するにはなおη1の値を知らなければならない、次にこれを求めることを考えよう。

一方で、(4)の右辺をuの冪級数に展開すれば

ζ(u)=2η1v+π2ω1(1πv13πv145π3v32945π5v5)+2πω1n=1q2n1q2n(2nπv43n3π3v3+415n5π5v5)

となる。これを先の式と比較し、各右辺におけるvv2v3の係数をそれぞれ等しいとおけば、次の関係が得られる。

η1=π2ω1(1122n=1nq2n1q2n)g2=(πω1)4(112+20n=1n3q2n1q2n)g3=(πω1)6(121673n=1n5q2n1q2n)

η1がこれによって計算できれば(4)(5)が実際に使用される。よって(5)においてu=ω1v=12とおけば、e1=14ω12{4η1ω1+π28π2n=1(1)nnq2n1q2n}

e1g2g3が知られればe2e3は二次方程式を解くことによっても求められる。

参考文献

参考文献は以下の通り。

[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。

[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。

[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001

[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49  ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。

[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017

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