テータ関数とペー関数
シグマ関数との関係として、以前、以下の式を議論した。
√℘(u)−ei=σi(u)σ(u)(i=1,2,3)
これより次の結果を得る。
√℘(u)−e1=12ω1ϑ1′ϑ2ϑ2(v)ϑ1(v)√℘(u)−e2=12ω1ϑ1′ϑ3ϑ3(v)ϑ1(v)√℘(u)−e3=12ω1ϑ1′ϑ0ϑ0(v)ϑ1(v)}
さらに以下の式が成り立つ。
℘′(u)=−2(12ω1)3ϑ1′3ϑ2ϑ3ϑ0ϑ2(v)ϑ3(v)ϑ0(v)ϑ1(v)3=−π4ω13ϑ1′2ϑ2(v)ϑ3(v)ϑ0(v)ϑ1(v)3(第 35 節 (5) による)
(1)の第一式においてu=ω2=−ω1−ω3、v=−12−τ2とおけば、
√e2−e1=12ω1ϑ1′ϑ2ϑ2(12+τ2)−ϑ1(12+τ2)=12ω1ϑ1′ϑ2−iεϑ0−εϑ3=iϑ1′ϑ02ω1ϑ2ϑ3=iπ2ω1ϑ02
同様の方法によって次の式を得る。
√e2−e1=iπ2ω1ϑ02, √e3−e1=−iπ2ω1ϑ32√e1−e2=π2ω1ϑ02, √e3−e2=−iπ2ω1ϑ22√e1−e3=π2ω1ϑ32, √e2−e3=−π2ω1ϑ22}
(2)からe1、e2、e3を求めれば
e1=13(π2ω1)2(ϑ34+ϑ04)e2=13(π2ω1)2(ϑ24−ϑ04)e3=−13(π2ω1)2(ϑ24+ϑ34)
となる。これと(1)を組み合わせれば℘(u)が計算できるが、もっと便利なのは次に述べる級数による方法である。無限乗積展開を代入すれば、
σ(u)=2ω1πe2η1ω1v2sinπv∞∏n=1(1−q2nz2)(1−q2nz−2)∞∏n=1(1−q2n)2
となる。この両辺をuに関して(v=u2ω1となることに注意)対数微分すれば
ζ(u)=2η1v+π2ω1cotπv−πiω1∞∑n=1(q2nz21−q2nz2−q2nz−21−q2nz−2)
となる。
|q2|<|z2|<|q−2|
したがって、
|q2nz2|<1, |q2nz−2|<1
と考えれば上の式の括弧内をzの冪級数に書き直すことができる。この結果を整頓してzの同じべきの項をそれぞれ集めれば次の式を得る、
ζ(u)=2η1v+π2ω1cotπv−πiω1∞∑n=1q2n1−q2n(z2n−z−2n)=2η1v+π2ω1cotπv+2πω1∞∑n=1q2n1−q2nsin2nπv
これでζ(u)が計算できる。
ゆえにvが基本周期平行四辺形(0、1、1+τ、τを頂点とするもの)内にあるときは確かにこの条件は満足されている。(4)をさらにuに関して微分すれば、
℘(u)=(12ω1)2{−4η1ω1+π2sin2πv−8π2∞∑n=1nq2n1−q2ncos2nπv}℘′(u)=(π2ω1)3{−2cosπvsin3πv+16∞∑n=1n2q2n1−q2nsin2nπv}
等の式を得る。さて(4)、(5)等を用いてζ、℘等の関数を計算するにはなおη1の値を知らなければならない、次にこれを求めることを考えよう。
一方で、(4)の右辺をuの冪級数に展開すれば
ζ(u)=2η1v+π2ω1(1πv−13πv−145π3v3−2945π5v5−⋯)+2πω1∞∑n=1q2n1−q2n(2nπv−43n3π3v3+415n5π5v5−⋯)
となる。これを先の式と比較し、各右辺におけるv、v2、v3の係数をそれぞれ等しいとおけば、次の関係が得られる。
η1=π2ω1(112−2∞∑n=1nq2n1−q2n)g2=(πω1)4(112+20∞∑n=1n3q2n1−q2n)g3=(πω1)6(1216−73∞∑n=1n5q2n1−q2n)
η1がこれによって計算できれば(4)、(5)が実際に使用される。よって(5)においてu=ω1、v=12とおけば、e1=14ω12{−4η1ω1+π2−8π2∞∑n=1(−1)nnq2n1−q2n}
参考文献
参考文献は以下の通り。
[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。
[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。
[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001
[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49 ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。
[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017