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第33講:テータ関数と楕円積分の計算1

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テータ関数と楕円積分の計算1

ここまで、楕円積分の研究から出発し、これを三種の標準形に分類した。

その中の第一種楕円積分については数値計算法を議論したり、その逆関数を考えるなどして詳しく調べたが、他の二種はあまり議論していなかった。

今回は残りの二種類、つまり第二種楕円積分と第三種楕円積分について考える。

楕円積分の第二種標準形を

z01k2z21z2dz

とし、ここで

z=sn(u,k)

と置換すれば、

z01k2z21z2dz=u0dn ucn ud(sn u)=u0dn2udu

となる。我々はJacobiにしたがって

E(u)=u0dn2udu

と書くことにしよう。これを変形する準備として、以前議論した加法公式においてv=ω3とおいた式を作ると、

(u+ω3)+(u)+e3=14(u)2{(u)e3}2={(u)e1}{(u)e2}(u)e3

したがって、

(u+ω3)e3={(u)e1}{(u)e2}(u)e3(u)2e3=e1e2+2e32(u)e3=(e1e3)(e2e3)(u)e3

従って、

(u+ω3)e3e1e3=e2e3(u)e3

となる。この右辺をさらに書き直せば、

e2e3e1e3e1e3(u)e3=k2sn2w

となる。ゆえに、

dn2w=1k2sn2w=1(u+ω3)e3e1e3=e1(u+ω3)e1e3

そこで、この式から以下の結果が得られる。

E(w)=w0e1(u+ω3)e1e3dw(w=ue1e3)=1e1e3u0{e1(u+ω3)}du=1e1e3{e1u+ζ(u+ω3)η3}

これで第二種積分を既知の関数で表すことができた。後の議論で必要だから、これをさらに積分したものも考える。w0E(w)dw=u0{e1u+ζ(u+ω3)η3}du=12e1u2+logσ(u+ω3)σ(ω3)η3u

これの指数関数をΩ(w)と書くことにすると

Ω(w)=expw0E(w)dw=e12e1u2σ3(u)

となる。

参考文献

参考文献は以下の通り。

[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。

[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。

[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001

[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49  ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。

[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017

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