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第36講:テータ関数と双曲線の弧長

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テータ関数と双曲線の弧長

前回は楕円の弧の長さを計算することを通して楕円積分についての理解を深めた。

楕円について長さを計算できるのだから、同じことを双曲線についてもやってみよう。

直交軸に関して

x2a2y2b2=1

の双曲線の(a, 0)から(x, y)までの弧長は

L=1by0(a2+b2)y2+b4y2+b2dy

によって求められる。ここで、

y=b2a2+b2tanθ

とおけば、

L=b2a2+b2θ0dθcos2θ1k2sin2θ,k2=a2a2+b2

となる。また

u=θ0dθ1k2sin2θ

とおいて、uを変数に用いれば

sinθ=sn u,cosθ=cn u,1k2sin2θ=dn u

dθ=dn udu

となる。したがって

L=b2a2+b2u0ducn2u

という結果を得る。

1cn u=ikkcn(u+K+iK),k=ba2+b2

これによって、Lは以下のようにあらわせる。

L=a2+b2u0k2cn2(u+K+iK)du

となる。さて

k2cn2u=k2k2sn2u=k2Θ(0)Θ(0)+d2du2logΘ(u)

したがって

k2cn2(u+K+iK)=k2Θ(0)Θ(0)+d2du2logΘ(u+K+iK)

である。するとΘの意味はもともと

Θ(u)=ϑ0(u2ω1e1e3)

だったのだから、テータ関数の表式として以下を得る。

Θ(u+K+iK)=ϑ0(u2ω1e1e3+12+τ2)=εϑ2(u2ω1e1e3)

ここにεuの一次式の指数関数である。ここに現れたϑ2uの関数と考えたものをH1(u)で表せば

k2cn2(u+K+iK)=k2Θ(0)Θ(0)+d2du2logH1(u)

となる。したがって

L=a2+b2u0{k2Θ(0)Θ(0)+d2du2logH1(u)}du=a2+b2{(Θ(0)Θ(0)k2)uH1(u)H1(u)}

という結論に至る。

ここで、Jacobiの記号ではϑ0(v)ϑ1(v)ϑ2(v)ϑ3(v)wの関数と考えたものをそれぞれΘ(w)H(w)H1(w)Θ1(w)で表していることに注意すること。

参考文献

参考文献は以下の通り。

[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。

[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。

[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001

[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49  ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。

[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017

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