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第42講:sn関数の一価性

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sn関数の一価性

今回はsn関数の一価性を証明する。

つまり、cを任意の一数とするとき

u=z0dz(1z2)(1k2z2)=c

のような積分路(0z)R面上に必ず一つだけ存在することを示す。

まずR面にABの二つの切断線を入れてR面とする。ABの交点に集まったR面の四隅をαβγδと名付ければ

βα=(A)=4K,  γβ=(B)=2iKδγ=(A)=4K,  αδ=(B)=2iK

よってv=14Kuとおけば、R面の周囲(すなわちABの両端)はv平面上において曲線平行四辺形に写像される。ただし、αβγδはそれぞれαβγδの写像で、

β=α+1,  γ=α+1+τ,  δ=α+τ

である。τ2iK÷4Kを表す。

ここで1τを周期とするϑ1関数を考え、

ϑ1(vc4K)

zの関数と考えたときR面内に零点をいくつもつかを調べよう。それは関数論で知られるように

N=12πiRddzϑ1(vc4K)ϑ1(vc4K)dz

を計算すればよい。変数をvとすれば

N=12πiϑ1(vc4K)ϑ1(vc4K)dv=12πi{βα+γβ+δγ+αδ}

となる。従って、

ϑ1(v+1)ϑ1(v+1)ϑ1(v)ϑ1(v)=0,   ϑ1(v+τ)ϑ1(v+τ)ϑ1(v)ϑ1(v)=2πi

だから、

βα+δγ=2πi,   γβ+αδ=0

したがってN=1を得る。すなわち

ϑ1(vc4K)=0

にするzがただ一つR面内に存在する。そのzに対してvc4K=m+nτである。ここでmnはある(任意ではない)整数を表す。両辺に4Kをかけて移項すれば

u=c+m4K+n2iK

となる。さて、このように、uにこのような値を与える積分路(0z)R面内に存在するのだから、その両辺をそのままとし途中を変えてさらにABをそれぞれ適当な方向にmn回横切るような積分路とすれば確かにu=c

にすることが出来るはずである。その積分路は一般にはR面内にはないが、R面内には存在していることが言える。

参考文献

参考文献は以下の通り。

[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。

[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。

[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001

[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49  ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。

[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017

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