sn関数の一価性
今回はsn関数の一価性を証明する。
つまり、cを任意の一数とするとき
u=∫z0dz√(1−z2)(1−k2z2)=c
のような積分路(0−z)がR面上に必ず一つだけ存在することを示す。
まずR面にA、Bの二つの切断線を入れてR′面とする。A、Bの交点に集まったR′面の四隅をα、β、γ、δと名付ければ
∫βα=∫(A)=4K, ∫γβ=∫(−B)=2iK∫δγ=∫(−A)=−4K, ∫αδ=∫(B)=−2iK
よってv=14Kuとおけば、R′面の周囲(すなわちA、Bの両端)はv平面上において曲線平行四辺形に写像される。ただし、α′、β′、γ′、δ′はそれぞれα、β、γ、δの写像で、
β′=α′+1, γ′=α′+1+τ, δ′=α′+τ
である。τは2iK′÷4Kを表す。
ここで1、τを周期とするϑ1関数を考え、
ϑ1(v−c4K)
をzの関数と考えたときR′面内に零点をいくつもつかを調べよう。それは関数論で知られるように
N=12πi∫R′ddzϑ1(v−c4K)ϑ1(v−c4K)dz
を計算すればよい。変数をvとすれば
N=12πi∫ϑ1′(v−c4K)ϑ1(v−c4K)dv=12πi{∫β′α′+∫γ′β′+∫δ′γ′+∫α′δ′}
となる。従って、
ϑ1′(v+1)ϑ1(v+1)−ϑ1′(v)ϑ1(v)=0, ϑ1′(v+τ)ϑ1(v+τ)−ϑ1′(v)ϑ1(v)=−2πi
だから、
∫β′α′+∫δ′γ′=2πi, ∫γ′β′+∫α′δ′=0
したがってN=1を得る。すなわち
ϑ1(v−c4K)=0
にするzがただ一つR′面内に存在する。そのzに対してv−c4K=m+nτである。ここでm、nはある(任意ではない)整数を表す。両辺に4Kをかけて移項すれば
u=c+m4K+n2iK′
となる。さて、このように、uにこのような値を与える積分路(0−z)がR′面内に存在するのだから、その両辺をそのままとし途中を変えてさらにA、Bをそれぞれ適当な方向にm、n回横切るような積分路とすれば確かにu=c
参考文献
参考文献は以下の通り。
[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。
[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。
[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001
[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49 ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。
[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017