テータ関数とシグマ関数
今回はテータ関数とシグマ関数の関係を調べてみよう。
σ関数は整関数で、その周期に対する性質や各周期平行四辺形内に一位の零点を一つずつもつことなどがϑ関数とよく似ている。
両者の関係を見出すために、
¯σ(u)=e−η12ω1u2σ(u)
の関数を作れば、σ関数の性質からただちに次の結果が証明できる。
{¯σ(u+2ω1)=−¯σ(u)¯σ(u+2ω3)=−e−πiω2(u+ω3)¯σ(u)
前のように
u2ω1=v, ω3ω1=τ
とすれば、上の結果は次のように書き直される。
{φ(u+1)=−φ(v)φ(u+τ)=−e−πi(2v+τ)φ(v)
これはちょうどϑ1(v)の周期に対する性質と同じである。ゆえに
φ(v)ϑ1(v)
は楕円関数である。そしてϑ1(v)=0となるときは同時にφ(v)=0にもなるから整関数でなければならない。したがってこの関数は実は定数に等しい。これをCとすれば
φ(v)=Cϑ1(v)
これをもとに戻せば
e−η12ω1u2σ(u)=e−2η1ω1v2σ(2ω1v)=Cϑ1(v)
これをvで微分すれば
−4η1ω1ve−2η1ω1v2σ(2ω1v)+2ω1e−2η1ω1v2σ′(2ω1v)=Cϑ1′(v)
となる。ここでv=0とおけば、σ′(0)=1だから、
2ω1=Cϑ1′
という結果を得る。よって、
σ(u)=2ω1e2η1ω1v2ϑ1(v)ϑ1′
ϑ関数は級数にしても乗積にしても比較的速やかに収束するので実際の計算には便利である。だが、ϑによってσが表されたのであるから(1)によってσ関数の値を容易に算出することができる。
これを知るにはη1を知らなければならない。さて、σだけではなくこれまでで既知の諸関数をϑで表そうというのが私たちの目的だ。
(1)においてuをu+ω1に、vをv+12に変えれば、
σ(u+ω1)=2ω1e2η1ω1(v+12)2ϑ2(v)ϑ1′
を得る。ここでu=0 (v=0)とおけば、
σ(ω1)=2ω1e12η1ω1ϑ2ϑ1′
となる。したがって、
σ1(u)=e−η1uσ(u+ω1)σ(ω1)=e2η1ω1v2ϑ2(v)ϑ2σ2(u)=e2η1ω1v2ϑ3(v)ϑ3σ3(u)=e2η1ω1v2ϑ0(v)ϑ0}
が得られる。
参考文献
参考文献は以下の通り。
[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。
[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。
[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001
[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49 ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。
[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017