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【量子力学入門07】シュレーディンガー方程式2

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シュレーディンガー方程式2

量子力学の基本原理を理解するための中心的な役割を果たすのが、シュレーディンガー方程式です。この方程式は、微視的な世界で粒子の運動を記述するための基本的な方程式です。

前回はシュレーディンガー方程式の歴史に焦点をあてて、古典力学の基礎方程式から量子力学の基礎方程式に至るまでの道筋を説明しました。

今回は、量子力学のシュレーディンガー方程式の基礎について簡単にまとめておきましょう。

シュレーディンガー方程式の形

シュレーディンガー方程式は、時間に依存するものと時間に依存しないものの2つの形式に分けられます。まず、時間依存シュレーディンガー方程式は以下のように書けます。

\begin{equation}
i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi(\bm{r}, t) = \hat{H} \psi(\bm{r}, t),
\end{equation}

ここで、\( \hbar \) は換算プランク定数 (\( \hbar = \frac{h}{2\pi} \))、\( \psi(\bm{r}, t) \) は波動関数(位置 \( \bm{r} \) と時間 \( t \) の関数)、\( \hat{H} \) はハミルトニアン演算子(エネルギー演算子)です。

ハミルトニアン演算子 \( \hat{H} \) は一般に次の形をとります。

\begin{equation}
\hat{H} = -\frac{\hbar^2}{2m} \nabla^2 + V(\bm{r}),
\end{equation}

ここで、\( -\frac{\hbar^2}{2m} \nabla^2 \) は運動エネルギー演算子、\( V(\bm{r}) \) は位置依存のポテンシャルエネルギーです。

時間に依存しないシュレーディンガー方程式

特定の物理系(ポテンシャルの問題)で、波動関数が時間と空間に分離可能な場合、時間に依存するシュレーディンガー方程式は変数分離して以下の形になります。

\begin{equation}
\hat{H} \phi(\bm{r}) = E \phi(\bm{r}),
\end{equation}

ここで、\( \phi(\bm{r}) \) は空間部分の波動関数、\( E \) はエネルギー固有値です。

この方程式を時間に依存しないシュレーディンガー方程式と呼びます。

ポテンシャルとその影響

ポテンシャル \( V(\bm{r}) \) の形状は、粒子の運動に重要な影響を与えます。例えば、自由粒子 (\( V(\bm{r}) = 0 \))のとき波動関数は平面波の形をとります。無限に深い井戸型ポテンシャルのとき粒子は特定のエネルギー固有値を持ちます。調和振動子ポテンシャル (\( V(\bm{r}) = \frac{1}{2}m\omega^2x^2 \))のときエネルギー準位が等間隔になります。

波動関数の解釈

波動関数 \( \psi(\bm{r}, t) \) は、直接的な物理的意味を持つわけではありませんが、その絶対値の2乗 \( |\psi(\bm{r}, t)|^2 \) は位置 \( \bm{r} \) における粒子の存在確率密度を表します。この確率密度は次を満たす必要があります。

\begin{equation}
\int_{-\infty}^{\infty} |\psi(\bm{r}, t)|^2 \, d^3r = 1.
\end{equation}

今回のまとめ

シュレーディンガー方程式は、量子力学の基礎を成す方程式であり、波動関数を通じて粒子の状態を記述します。ポテンシャルの形状に応じた具体的な解を求めることで、物理系の性質を理解することができます。

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