\def\bm#1{{\boldsymbol{#1}}} \def\coloneqq{{:=}}
光子の確率波とマクスウェル方程式
光子の確率波は、量子力学の基本概念の一つであり、光や電磁波の粒子性と波動性を統一的に記述します。この理解の出発点として、まず古典電磁気学におけるマクスウェル方程式を復習します。その後、量子力学の確率波の概念を導入し、光子と電磁場の関係を明らかにします。
マクスウェル方程式の復習
マクスウェル方程式は、電磁場を記述する4つの基本方程式から構成されています。まずはこれらを復習しておきましょう。
ガウスの法則
電場 \bm{E} は電荷密度 \rho によって生成されます。これは次式で表されます。
\begin{equation}
\nabla \cdot \bm{E} = \frac{\rho}{\varepsilon_0},
\end{equation}
ここで、\varepsilon_0 は真空の誘電率です。
磁場に対するガウスの法則
磁場 \bm{B} は単極子を持たないため、発散は常にゼロです。
\begin{equation}
\nabla \cdot \bm{B} = 0.
\end{equation}
ファラデーの法則
時間変化する磁場は電場を誘起します。この関係は次式で示されます。
\begin{equation}
\nabla \times \bm{E} = -\frac{\partial \bm{B}}{\partial t}.
\end{equation}
アンペール-マクスウェルの法則
電流密度 \bm{J} と時間変化する電場が磁場を生成します。
\begin{equation}
\nabla \times \bm{B} = \mu_0 \bm{J} + \mu_0 \varepsilon_0 \frac{\partial \bm{E}}{\partial t},
\end{equation}
ここで、\mu_0 は真空の透磁率です。
これらの方程式を組み合わせることで、電磁場のダイナミクスが完全に記述されます。
電磁波の波動方程式
マクスウェル方程式から電磁波の波動方程式を導出します。
電場の波動方程式
アンペール-マクスウェルの法則にファラデーの法則を代入すると、次の電場の波動方程式が得られます。
\begin{equation}
\nabla^2 \bm{E} – \mu_0 \varepsilon_0 \frac{\partial^2 \bm{E}}{\partial t^2} = 0.
\end{equation}
磁場の波動方程式
同様にして、磁場の波動方程式は次のようになります。
\begin{equation}
\nabla^2 \bm{B} – \mu_0 \varepsilon_0 \frac{\partial^2 \bm{B}}{\partial t^2} = 0.
\end{equation}
これらの波動方程式は、光速 c が次式で与えられることを示します。
\begin{equation}
c = \frac{1}{\sqrt{\mu_0 \varepsilon_0}}.
\end{equation}
確率波と量子力学
古典的な電磁波は波動方程式によって記述されますが、光子という粒子的な振る舞いを説明するためには量子力学が必要です。量子力学では、粒子の運動を確率波(波動関数)を用いて記述します。
波動関数の基本概念
量子系における粒子の状態は、波動関数 \psi(\bm{r}, t) によって表されます。この波動関数の絶対値の二乗 |\psi(\bm{r}, t)|^2 は、位置 \bm{r} における粒子の存在確率密度を示します。
光子の場合、波動関数は電磁場の振幅に対応し、特に電場 \bm{E} と磁場 \bm{B} が波動関数の確率的な性質を反映しています。
光子の確率波
光子の波動関数は、電磁場のモードと密接に関連しています。
電場と磁場の量子化
電磁場を量子化することで、光子の概念が導入されます。量子化された電磁場は次のように表されます。
\begin{equation}
\hat{\bm{E}}(\bm{r}, t) = i \sum_k \sqrt{\frac{\hbar \omega_k}{2 \varepsilon_0 V}} \left( \hat{a}_k e^{i(\bm{k} \cdot \bm{r} – \omega_k t)} – \hat{a}_k^\dagger e^{-i(\bm{k} \cdot \bm{r} – \omega_k t)} \right),
\end{equation}
ここで、\hat{a}_k と \hat{a}_k^\dagger はそれぞれ光子の消滅演算子と生成演算子を示します。
光子の確率波
光子の存在確率は、波動関数 \psi_k(\bm{r}, t) を用いて次のように表されます。
\begin{equation}
|\psi_k(\bm{r}, t)|^2 \propto |\bm{E}(\bm{r}, t)|^2 + |\bm{B}(\bm{r}, t)|^2.
\end{equation}
ここで、\bm{E} と \bm{B} は量子化された電場および磁場の期待値に対応します。
波動性と粒子性の統一
光子の確率波は、波動性(電磁場の波としての振る舞い)と粒子性(光子の粒子的な性質)を統一的に記述します。たとえば、スリット実験では干渉縞が波動性を示し、個々の光子の検出は粒子性を示します。
今回のまとめ
光子の確率波は、古典的なマクスウェル方程式と量子力学の波動関数を橋渡しする概念です。この理解を通じて、光の波動性と粒子性の両方を深く理解することが可能になります。電磁場の量子化と波動関数の確率解釈は、現代物理学の基礎として重要な役割を果たしています。