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【電磁気学】第02講|電磁気学とはどのような学問か?②

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第1回に引き続き、電磁気学とはどのような学問なのかを確認しましょう。

4つの力

力学は物体に力が与えられたとき、系がどのように振舞うのかを教えてくれる。今日の物理学では、ただ4つの基礎的な力が知られている。それは以下の4つである。

  • 強い力
  • 電磁気力
  • 弱い力
  • 重力

この力のリストが簡潔であることに驚くかもしれない。

摩擦力はどこにあるのだろう?
床から抜け落ちないようにするはたらきをもつ垂直抗力は無いのだろうか?

分子同士を結合させる化学的な力はどうだろう?
2つのビリヤードの球が衝突したときの撃力は無いのか?

実は、これらの力は電磁気力であるというのが正解である。事実、我々は電磁気学の世界に住んでいると言っても過言ではない。

重力を除いて、我々が日常的に経験する力は全て電磁気学に起源をもっている。ちなみに、強い力と弱い力という名称は悪ふざけで書いた訳ではなく、本当にこのように呼ばれている。これらは、単に電磁気力と比べて強いか弱いかというだけで名前が付けられている。

強い力(strong forces)は原子核の中で陽子と中性子は結びつける力で、力が及ぶ範囲は極端に短く、電磁気力の100倍も力が強いにも関わらず、我々が感じることは無い。

弱い力(weak forces)はある種の放射性崩壊を説明する力であり、強い力のように力が及ぶ範囲は極端に短く、電磁気力よりも力が弱い。

重力は他の力に比べて極端に力が弱く、我々が重力を実感することが出来るのは太陽や地球の質量の集中のみである。

2つの電子の間の電磁気力による斥力は重力による引力も$10^{42}$倍も強く、もしも原子同士が電磁気力の代わりに重力で結びついていたとするならば、1つの水素原子の大きさは我々が知っている宇宙の大きさよりも遥かに大きなものとなってしまう。

電磁気力は我々の日常において、圧倒的に支配的であるだけでなく、今日の物理学において唯一完全に理解されている力である。

勿論、重力も古典論的には非相対論でのNewton の万有引力の法則、あるいは相対論でのEinstein の一般相対性理論として理解されているが、量子論的には満足のいく理解を得ることが出来ておらず、今なお多くの人々が量子重力理論の構築について研究を進めている。

現時点では、弱い相互作用については面倒だが非常に成功している理論があり、そして強い相互作用については色力学(chromodynamics)と呼ばれる驚くほど魅力的な候補がある。

これらの理論はどれも電磁気学からインスピレーションを得ており、決定的な実験的検証の結果には反論の余地がないと言ってよい。

このように電磁気学は申し分のないぐらい完璧で成功を収めている理論なのである。これは電磁気学が物理学者の間である種のパラダイム、すなわち、他の理論がお手本とする理想的な模型になっていると言って良い。

古典電磁気学の法則はFranklin、Coulomb、Ampere、Faraday らによって少しずつ発展していった。
しかし、電磁気学を完成させ、今日使われている洗練した形に整理したのはJames Clerk Maxwell である。このような意味で、電磁気学はおよそ150歳くらいの理論であると言える。

物理学の理論における統一

初めは、電気と磁気は全く別々の対象だった。

電気はガラス棒と猫の毛皮、鉄球、電池、電流、電気分解、そして雷などを扱っていた。一方で磁気は棒磁石、砂鉄、コンパスの針と北極などを扱っていた。

しかし、$1820$年にOersted は磁気を帯びたコンパスの針が電流をそらすということに気が付いた。その後間もなく、Ampere は全ての磁気現象は運動する電化によるものであるということを明確に主張した。

そして1831年、Faraday は動いている磁石が電流を生み出すということを発見した。その後、Maxwell とLorentz が電気と磁気が密接に絡み合った理論をまとめ上げた。

電気と磁気は別々の問題としてあるのではなく、電磁気学という1$の問題の2つの側面であるとみなしたのである。

Faraday は光も本来は電気であると推測していた。Maxwell の理論はこの仮説に素晴らしい正当化を与えた。

そして、レンズ、鏡、プリズム、回折と干渉などを研究する分野である光学(optics)はその後すぐに電磁気学に組み込まれることとなった。1888年にMaxwell の理論における決定的な実験の確証を掴んだHertz はこのように述べている。

「光と電気の間の関連は今明らかなものとなった。あらゆる瞬間、あらゆる発光粒子に対して我々は電気的過程を見ることが出来る。故に、電気の領域は自然界の全てに拡張することが出来る。電気は我々の眼という電気的器官を通して、我々自身にさえ密接に影響を及ぼしている。」

1900年になると、電気、磁気、光という物理学における3つの大きな枝は1つの理論に統合されることとなった。そして間もなく、可視光はラジオからのマイクロ波、赤外線や紫外線、X線やガンマ線まで広域に渡る電磁放射のごくわずかな領域にしか過ぎないということが明らかとなった。

Einstein は1世紀前に電気と磁気と光が統一されたように、重力理論と電気力学も統一出来ないだろうか、という更なる夢を描いていた。

彼の統一場理論(unified field theory)は特に成功を収めることは無かったが、最近になって同様の研究が、より意欲的で挑戦的な統一構造の階層を生み出した。

1960年代の初め、Glashow、Weinberg、Salam らは電弱理論(electroweak theory)を提唱し、弱い力と電磁気力の統一を行った。

統一の試みは1980年代の超弦理論によって最高潮に達した。これは提唱者たちによって、4つの力をたった1つの万物の理論(theory of everything)に盛り込む理論であると言われている。

この階層の段階ごとに数学的により難解となり、発想の元となった予想と実験による検証のギャップは広がっている。しかし、電気力学によって始まった力の統一が物理学の発展における主題であるということは明らかなことなのである。

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