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【場の量子論と対称性】第05講 スピノール表現2

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スピノール表現

今回は前回に引き続き、スピノール表現を扱う.理解を深めるために演習を行いながら進めていこう。

問題

Bγ5がそれぞれ(21)、(23)で与えられると仮定した場合、相似変換(20)と(22)が成り立つことを証明せよ。

解答

まず(20)が成り立つことを示す。μ=0なら自明に成り立つ。μ0なら(γμ)=γμなので、以下のように(20)が示せる。
{γ0,γμ}=γ0γμ+γμγ0(18)=γ0γμ(γμ)γ0=0γ0γμγ10=BγμB1=(γμ)


次に(22)が成り立つことを示す。これは(17)を用いてγμを1つずつ左に移し替えていけば良い。例えばμ=2なら、以下のように(22)が示せる。
iγ0γ1γ2γ3γ2=iγ0γ1γ2γ2γ3=iγ0γ2γ1γ2γ3=iγ2γ0γ1γ2γ3=γ2γ5γ5γ2γ15=γ2

問題

(23)で与えられるγ5に以下の性質があることを示せ。

{γ5,γμ}=0  γ25=1l  γ5=γ5

解答

{γ5,γμ}=0が成り立つことは(22)より明らか。γ25=1lが成り立つことは次のように計算することで示せる。
γ25=γ5γ0γ1γ2γ3=γ0γ0γ1γ2γ3γ1γ2γ3=γ1γ2γ1γ3γ2γ3=γ1γ1γ2γ2γ3γ3=1l


γ5=γ5が成り立つことは次のように計算することで示せる。
γ5=(iγ0γ1γ2γ3)=(γ3)(iγ0γ1γ2)=γ3γ2(iγ0γ1)=iγ3γ2γ1γ0=iγ3γ2γ1γ0=iγ2γ3γ0γ1=iγ2γ0γ1γ3=iγ0γ1γ2γ3=γ5

問題

γ5はトレースレスで、さらに[γ5,Jμν]=0を満たすことを示せ。但し、Jμνは(19)で与えられる。

解答

γμγν=12(γμγν+γνγμ)+12(γμγνγνγμ)=ημν+(Pauli matrices term)


これについて両辺トレースを取るとPauli 行列に関する部分は0となるから、
tr(γμγν)=4ημν

となる。これらを利用すれば以下のように計算できる。
tr(γμγνγργσ)=tr{(2ημνγνγμ)γργσ}=2ημνtr(γργσ)tr{γν(2ημργργμ)γσ}=8ημνηρσ8ημρηνσ+tr{γνγρ(2ημσγσγμ)}=8(ημνηρσημρηνσ+ημσηνρ)tr(γμγνγργσ)

後はここに(μ,ν,ρ,σ)=(0,1,2,3)代入すれば、
trγ5:=itr(γ0γ1γ2γ3)=itr(γ0γ1γ2γ3)=trγ5

となるから、確かにγ5はトレースレスであると言える。さらに、後半部分も以下のように示すことが出来る。
[γ5,Jμν]=i4(γ5γμγνγ5γνγμγμγνγ5+γνγμγ5)=i2(γ5γμγνγμγνγ5)=0

問題

ガンマ行列を用いて、Jμν

Jμν=(σμν00ˉσμν)

と与えられることを示せ。但し、

σμν=i4(σμˉσνσνˉσμ)  ˉσμν=i4(ˉσμσνˉσνσμ)

解答

(19)を用いると、以下のように計算できる。
Jμν=i4{(0σμˉσμ0)(0σνˉσν0)(0σνˉσν0)(0σμˉσμ0)}=(σμν00ˉσμν)

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