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【場の量子論と対称性】第06講 スピノール表現3

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スピノール表現

γTμγμに関連付けるために、行列Cを導入する。

CγμC1=γTμ

但し、Cは次の式を満たすように与えられている。

CC=1l  C=CT

Cは荷電共役行列として知られている。(20)と(28)を用いると、次にのようにγμγμに関連付けることが出来る。

γμ=BCγμ(BC)1

これらの相似変換を用いると、スピノールにおける射影条件を定義することが出来る。特に、Lorentz 代数の下でDirac スピノールは可約であることが分かる。さて、次のような2つの異なる射影条件を定義しよう。

 

  • Weyl スピノール

γ25=1lなので、γ5の固有値は±1である。更に、γ5はトレースレスであるので、2つの固有値+1と2つの固有値1を持つ。今、γ5が対角的になるように基底を採る前に、トレースレスになるように固有値を決定しているから、γ5がトレースレスになるには、その4つの固有値は2つが+1、残り2つが1になるしかない。γ5が対角的になるように基底を採ろう。我々はJμνγ5が交換するということを知っている。Jμνは2つの2×2ブロックでブロック対角的であるから、従って、可約である。実際、Dirac スピノールΨを、次の式で定義されるような2成分の右巻きWeyl スピノールと左巻きWeyl スピノールに射影する。

ΨL=(ψL0)=P+ΨΨR=(0ψR)=PΨP±=12(1l±γ5)

注意として、2L2Rで書かれるWeyl 表現は等しくない。複素共役の下で2L2Rは互いに写り合う。

  • Majorana スピノール

γμγμBCに関連づけられているので、Jμν(Jμν)は次のようにBCを用いて書くことが出来る。

BCJμν(BC)1=(Jμν)

従って、複素共役を取ったDirac スピノールΨはLorentz 変換の下で同じように変換するので、Lorentz 共変性と矛盾することなく次のような実条件を課すことが出来る。スピン0の粒子をあらわすKlein-Gordon 場の場合、実場は粒子と反粒子が同一の粒子に対応し、複素場は粒子と反粒子が異なる粒子に対応していた。複素場に実条件φ=φを課すと実場が得られるのだった。

一方で、スピン1/2の粒子の場合、Dirac 場は粒子と反粒子が異なるスピン1/2の粒子をあらわす場であり、Majorana 場は粒子と反粒子が異なるスピン1/2の粒子をあらわす場である。粒子と反粒子が同一のスピン1/2の場を定義するにはΨ=Ψを課せば良いように見えるが、この2つはLorentz 変換の下での変換性が異なるので、この式は相対性原理を満たせない。故に上記のような条件を採らなければならない。因みに、(32)と(BC)BC=1lを、あるいは(32)と((BC)BC=1lと同値な)荷電共役の定義Ψc=(BC)ΨをMajorana 条件と呼ぶ。

Ψ=BCΨ

この射影条件は2次元の表現としても定義することが出来て、Majorana スピノールと呼ばれる。Ψ=Ψであるから、演算子BC(BC)BC=1lを満たさなければならない。

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