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【大学院入試対策】常微分方程式演習4

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常微分方程式演習4

今回は1階線型の常微分方程式の問題演習をしましょう。

問題4

次の微分方程式の一般解を求めよ。

(1)
$y’-2=x+1$

(2)
$y’-y\sin{x}=\sin{x}\cos{x}$

(3)
$y’+y\cot{x}=5\mathrm{e}^{\cos{x}}~(0 < x <\pi)$

(4)
$x^3y’+(2-3x^2)y=x^3~(x>0)$

(5)
$xy’-y=x^2\log{x}$

解答4

(1)
(a)

$同次方程式y’-y=0の解はy\neq0を仮定すれば$
\[
\log{|y|}=x+C_0 (C_0:任意定数) \Leftrightarrow y=\pm\mathrm{e}^{C_0}\mathrm{e}^{x}=C\mathrm{e}^x (C:0でない任意定数)
\]
$ところでy=0の時、 y’=0であるので、 y=0も解である。$
したがって$C$の定義を変えれば
\[
y=C\mathrm{e}^x (C:任意定数)
\]

(b)

$上の同次方程式の解にある定数Cをxの関数とみなしてC(x)とおき、$
\[
y=C(x)\mathrm{e}^x\cdots(*)
\]
を与えられた非同次方程式に代入すると
\[
y’-y=C(x)\mathrm{e}^x+C'(x)\mathrm{e}^x-C(x)\mathrm{e}^x=x+1 \Leftrightarrow C'(x)=(x+1)\mathrm{e}^{-x}
\]
これを解けば
\[
C(x)=-(x+1)\mathrm{e}^x+\int\mathrm{e}^{-x}dx=-(x+2)\mathrm{e}^{-x}+A (A:任意定数)
\]
これを$(*)$に代入すれば求める一般解は
\[
y=A\mathrm{e}^x-(x+2)
\]

 

(2)
(a)

$同次方程式y’-y\sin{x}=0の解は$
\[
y=C\exp{(-\cos{x})} (C:任意定数)
\]
と容易に分かる。

(b)

$上の同次方程式の解にある定数Cをxの関数とみなしてC(x)とおき、$
\[
y=C(x)\exp{(-\cos{x})}\cdots(*)
\]
を与えられた非同次方程式に代入すると
\[
y’-y\sin{x}=C'(x)\exp{(-\cos{x})}+C(x)\sin{x}\exp{(-\cos{x})}-C(x)\sin{x}\exp{(-\cos{x})}=\sin{x}\cos{x}
\]
\[
\Leftrightarrow C'(x)=\sin{x}\cos{x}\exp{(\cos{x})}
\]
これを解けば
\[
C(x)=\int\sin{x}\cos{x}\exp{(\cos{x})}dx=-\cos{x}\exp{(\cos{x})}-\int\sin{x}\exp{(\cos{x})}dx=(1-\cos{x})\exp{(\cos{x})}+A (A:任意定数)
\]
これを$(*)$に代入すれば求める一般解は
\[
y=A\exp{(-\cos{x})}+1-\cos{x}
\]

 

(3)
(a)

$同次方程式y’+y\cot{x}=0の解は\cot{x}\displaystyle\equiv\frac{\cos{x}}{\sin{x}} であることに注意すれば$
\[
y=\frac{-C}{\sin{x}} (C:任意定数)  と容易に分かる。
\]

(b)

$上の同次方程式の解にある定数Cをxの関数とみなしてC(x)とおき、$
\[
y=\frac{-C(x)}{\sin{x}}\cdots (*)
\]
を与えられた非同次方程式に代入すると
\[
y’+y\cot{x}=\frac{-C'(x)\sin{x}+C(x)\cos{x}-C(x)\cos{x}}{\sin^2{x}}=5\exp{(\cos{x})} \Leftrightarrow C'(x)=-5\sin{x}\exp{(\cos{x})}
\]
これを解けば
\[
C(x)=5\exp{(\cos{x})}+A (A:任意定数)
\]
これを$(*)$に代入すれば求める一般解は
\[
y=\frac{-\{5\exp{(\cos{x})+A}\}}{\sin{x}}
\]

 

(4)
\[
与式を整理すれば y’+\left(\frac{2-3x^2}{x^3}\right)y=1 (x>0) \cdots (*)
\]
(a)

$同次方程式y’+\left(\displaystyle\frac{2-3x^2}{x^3}\right)y=0の解は$
\[
y=Cx^3\exp{\left(\frac{1}{x^2}\right)} (C:任意定数)  と容易に分かる。
\]

(b)

$上の同次方程式の解にある定数Cをxの関数とみなしてC(x)とおき、$
\[
y=C(x)x^3\exp{\left(\frac{1}{x^2}\right)}\cdots (**)
\]
を$(*)$に代入すると
\[
y’+\left(\frac{2-3x^2}{x^3}\right)y=C'(x)x^3\exp{\left(\frac{1}{x^2}\right)}=1
\]
これを解けば
\[
C(x)=\frac{1}{2}\exp{\left(\frac{-1}{x^2}\right)}+A (A:任意定数)
\]
これを$(**)$に代入すれば求める一般解は
\[
y=x^3\left\{\frac{1}{2}+A\exp{\left(\frac{1}{x^2}\right)}\right\}
\]

 

(5)
\[
与式を整理すれば y’-\frac{y}{x}=x\log{x} \cdots(*)
\]
(a)

$同次方程式y’-\displaystyle\frac{y}{x}=0の解は$
\[
y=Cx (C:任意定数)  と容易に分かる。
\]

(b)

$上の同次方程式の解にある定数Cをxの関数とみなしてC(x)とおき、$
\[
y=C(x)x\cdots (**)
\]
を$(*)$に代入すると
\[
C'(x)+C(x)-C(x)=x\log{x} \Leftrightarrow C'(x)=\log{x}
\]
これを解けば
\[
C(x)=x(\log{x}-1)+A (A:任意定数)
\]
これを$(**)$に代入すれば求める一般解は
\[
y=x^2(\log{x}-1);Ax
\]

(a)の途中の積分で、$\displaystyle\frac{y’}{y}=\frac{1}{x} \Leftrightarrow \log{|y|}=\log{|x|}+C_0 (C_0:任意定数)$という積分が出てきますが、与式で$\log{x}$と書かれていることから$x>0$は自明であるので、今の場合、$\log{|x|}$は$\log{x}$とすることが出来て後の積分をすることが出来ます。このように隠れた条件から絶対値を外せる場合もよく見られますので問題を解く際には積分をしたときの付け忘れだけでなく、条件を見落として外し忘れてしまうことにも十分に注意しましょう。

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