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【弦理論入門13】超弦理論の基礎03

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弦理論入門10

閉じた超弦

閉じた超弦のセクターは4つの異なる方法で構成される。右に動くと左に動く弦はそれぞれ開弦のNS セクターとR セクターに似ている。時空の点の見方から、先の状態に関するNS-NS セクターとR-R セクターが時空のBoson となり、これに対して、NS-R セクターとR-NS セクターが時空のFermion となる。

閉弦では、表で与えた開弦の状態を2つ複製することによって最低状態を得る。閉弦の最低状態は表に与えてある。但し、+はここでもFermion的な数exp(iπF)に対応している。表の表現には次のような性質がある。2856t35±にはそれぞれ2形式、3形式、4形式を表現している。但し、4形式は自己双対条件を満たしている。352階の対称トレースレステンソルである。5656はベクトルスピノールであり、グラビティ―ノに対応している。

 

セクター SO(8)表現 M2
(NS+,NS+) 8  v8  v=12835 0
(NS,NS) 1 1/2α
(R+,R+) 8  8  =12835+ 0
(R,R) 8  8  =12835 0
(R+,R) 8  8  =8  v56t 0
(NS+,R+) 8  v8  =8  56 0
(NS+,R) 8  v8  =8  56 0

超対称性のある閉弦の最低状態

GSO 射影は4つのコンシステントな10次元の閉弦の理論を生じる。この後見ていくように、ゲージ・重力双対では、そのうちの2つ、IIA 型超弦理論とIIB 型超弦理論に特に興味がある。これらは次のセクターを有している。
{Type IIA:(NS+,NS+),(R+,NS+),(NS+,R),(R+,R)Type IIB:(NS+,NS+),(R+,NS+),(NS+,R+),(R+,R+)


IIB 型理論はいつでもFermion 的な数が+1となるので、カイラルな構造を持つ。表の結果を用いることで、これを表現に対応させることが出来て、

Type IIA:18v2856t35885656Type IIB:122823535+82562

となる。IIA 型理論はカイラリティが異なるスピノール88とスピノール5656を有している。他方で、IIB 型理論は先に述べたようにカイラルな理論である。565635表現に対応しているグラビトンの超パートナーであるグラビティ―ノに対応している。

NS-NS セクターは場ϕBMNgMNを有している。これらはSO(8)12835に対応している。これらの場はBoson 的弦理論を論じた際にお目にかかっている。他方で、NS-R セクターやR-NS セクターなどの混合セクターには超パートナーであるグラビティーノやディラティーノなどが含まれている。R-R セクターは基底状態の縮退によってより複雑になっている。カイラリティが異なることにより、2つの同等でないR-R 基底状態が存在し、これらはIIA 型超弦理論とIIB 型超弦理論に対応している。IIB 型理論には左に動くセクターと右に動くセクターは同じカイラリティを有しており、零質量の準位にはスカラー場C(0)2階反対称テンソル場C(2)4階反対称テンソル場C(4)が住んでいる。2つのカイラリティが逆のR-R 状態のIIA 型理論には反対称テンソル場C(1)C(3)が住んでいる。

1980年代から1990年代に発見されたように、超弦理論には更にI 型理論とゲージ群SO(32)及びE8×E8の下でのヘテロティック弦理論、すなわち、SO(32)ヘテロ型理論とE8×E8ヘテロ型理論として知られる合計3つのコンシステントな理論が存在している。これらはお互いに、そしてII 型理論と双対性のウェブによって繋げられる。しかし、ここでの目的においては、II 型理論のみに注目するだけで充分である。

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