$\def\bm#1{{\boldsymbol{#1}}}$
$\def\rmd#1{\mathrm{d}{#1}}$
波動論02
前回に引き続き波動論について学習していきましょう。
この授業では波動論の様々な分野をなるべく簡単な言葉で要約していくことを目指します。
うなり
わずかに異なった振動数をもつ波を同時に観測すると、うなりという現象が発生する。振動数が$f_1$、$f_2$である$2$つの波の足し合わせを考える。これらを三角関数の合成公式で合成すると、うなりの振動数$f$は$f=|f_1-f_2|$になる。他に条件が無ければ、$f_1$と$f_2$の大小関係を決めることはできない。
これらの関係式を導出するためには三角関数の合成を行う。三角関数は以下の式で合成できる。
\begin{equation}
a\sin{\theta}+b\cos{\theta}=\sqrt{a^2+b^2}\cos{(\theta+\alpha)}
\end{equation}
但し、$\alpha$は以下を満たす値である。
\begin{equation}
\sin{\alpha}=-\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}},~~~\cos{\alpha}=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}
\end{equation}
ドップラー効果
観測者も音源も同一直線上を動き、音源S から観測者O に向かう向きを正とすると、観測者に聞こえる音波の振動数は以下のようになる。
\begin{equation}
f=\dfrac{V-v_{\text{O}}}{V-v_{\text{S}}}f_0\tag{1}
\end{equation}
観測者の速度$v_{\text{O}}$と音源の速度$v_{\text{S}}$の向きに注意。いずれも両者が近づく向きに進んだときに振動数$f$が増えるように符号を採ると覚えると良い。
Doppler 効果の問題が出題されるときは多くの場合(1)を用いるだけで解決できる。その他の応用問題のパターンとしては、斜めDoppler 効果と風が吹いている場合のDoppler 効果があげられる。導出過程が問われることはあまりない。斜め方向のDoppler 効果を考える場合は、Doppler 効果を起こすことができる、「波の伝わる方向の速度成分」のみを考えれば良い。また、風が吹いている場合は音速に風の速度を足して計算を行えば良い。
以上の議論は観測者の速度$v_{\text{O}}$と音源の速度$v_{\text{S}}$がいずれも光の速さ$c$より十分に小さいときにのみ適用可能である。相対論的Doppler 効果については特殊相対性理論を学ぶ際に扱う。