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【物性物理学】物性物理学1-結晶構造

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$\def\bm#1{{\boldsymbol{#1}}}$
$\def\rmd#1{\mathrm{d}{#1}}$
$\def\Braket#1{\langle{#1}\rangle}$
$\def\Bra#1{\langle{#1}|}$
$\def\Ket#1{|{#1}\rangle}$
$\def\kb{k_{\text{B}}}$
$\def\dag{\dagger}$

物性物理学1

ここでは結晶構造と金属電子論の基本をまとめていきます。

結晶構造

各辺の長さが$a$の立方格子を考えると、

 

  • 体心立方格子(BCC)

原子間距離は$a\sqrt{3}/2$、重点率$68\%$、単位格子中の原子の数$2$個。アルカリ金属の多くはBCC。

  • 面心立方格子(FCC)

原子間距離は$a\sqrt{2}/2$、重点率$74\%$、単位格子中の原子の数$4$個。

逆格子単位胞の体積を第1ブリルアンゾーン$V_{\text{BZ}}$と呼ぶ。これは、実格子単位胞の体積$V_{\text{R}}$を用いて$V_{\text{BZ}}=(2\pi)^3/V_{\text{R}}$とあらわせる。

周期的な格子中の電子はブロッホの定理を満たす。一般に、ブロッホ関数は自由空間の運動量演算子の固有状態ではない。

金属電子論

ドルーデ模型では金属が正に帯電したイオンの集まりとそれから放出された膨大な数の自由電子から構成されていると考えていたのに対して、ゾンマーフェルト模型ではフェルミ・ディラック分布を利用してドルーデ模型を改良し、電子気体の比熱や伝導現象の問題を解決した。

排他原理から零温度における金属中の電子は運動量空間で球の形をつくる。このときの波数ベクトルを$|\bm{k}|=k_F$であらわす。$p_F=\hbar k_F$なので、$E_F=\hbar^2k_F^2/(2m)$である。一方で、電子の数密度$n$を用いて$k_F=(3\pi^2n)^{1/3}$と書ける。$n$は$\text{m}^{-3}$、$k_F$は$\text{m}^{-1}$なので、この結果は理にかなっている。故に、フェルミエネルギーは以下のようにあらわせる。

\begin{equation}
E_F=\dfrac{\hbar^2}{2m}(3\pi^2n)^{2/3}\propto n^{2/3}
\end{equation}

状態密度$\rho(E)$は$\rho(E)\propto m^{3/2}\sqrt{E}$である。これより電子の全個数$N$を求めることができる。

\begin{equation}
N=\int_0^{E_F}\rho(E)\rmd E\propto n
\end{equation}

これを用いると、$\rho(E_F)$は以下のように書ける。

\begin{equation}
\rho(E_F)=\dfrac{3}{2}\dfrac{N}{E_F}
\end{equation}

低温では電子の殆どがフェルミ球に埋め込まれているので、金属中の導電電子の個数$N_C$は$N$と異なる式となる。これは近似的に以下のように書くことができる。

\begin{equation}
N_C\sim\rho(E_F)(\kb T)\sim N\dfrac{\kb T}{E_F}
\end{equation}

この近似は合理的なものである。ゾンマーフェルト模型で動ける電子はフェルミ面の薄皮上の電子だけで、大多数の電子はフェルミ球の内部で寿司詰めになっており、パウリの排他律の制約で身動きの取れない状態にある。フェルミ粒子の密度が高くなるとこのような状況に陥る。これをフェルミ縮退と呼ぶ。金属中の自由電子の動きは原子には束縛されないが、パウリの排他律により自由度の大部分が凍結している。特に、$k_F\propto n^{1/3}$と$E_F\propto n^{2/3}$と$N\propto n$がよく問われる。

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