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【素粒子物理学】素粒子物理学1-標準模型

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$\def\bm#1{{\boldsymbol{#1}}}$
$\def\rmd#1{\mathrm{d}{#1}}$
$\def\Braket#1{\langle{#1}\rangle}$
$\def\Bra#1{\langle{#1}|}$
$\def\Ket#1{|{#1}\rangle}$
$\def\kb{k_{\text{B}}}$
$\def\dag{\dagger}$

素粒子物理学1

ここでは標準模型の基本をまとめていきます。

標準模型:粒子と相互作用

この世界には強い力、電磁気力、弱い力、重力の$4$種類の力が存在する。素粒子の標準模型では重力以外の$3$つの力を考える。光子は電磁気力を媒介する。$W^\pm$ボソンと$Z~$ボソンは弱い力を媒介する。グルーオンは強い力を媒介する。

光子とグルーオンは零質量であるのに対して、$W^\pm$ボソンと$Z~$ボソンは陽子の質量の$90$倍の重さを持つ。光子と$Z~$ボソンは自分自身が反粒子であるが、$W^+$ボソンの反粒子は$W^-$ボソンである。

クォークとは素粒子のグループの$1$つであり、強い力で相互作用する。クォークはレプトンと共に物質の基本的な構成要素であり、クォークはハドロンを構成する。強い相互作用を記述する量子色力学にはカラーと呼ばれる、量子色力学に関連したチャージが存在している。強い相互作用を受けるクォークと強い相互作用を媒介するグルーオンがカラーを持つ。アップクォークの電荷は$+2/3$、ダウンクォークの電荷は$-1/3$である。実はクォークは弱い核力も介して相互作用する。$W~$ボソンを放出または吸収すると、クォークのフレーバーがアップからダウン、またはその逆に変化し、その世代も変化する。

電子型粒子(電子、ミュー粒子、タウ粒子)とニュートリノ(電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノ)はレプトンとして総称される。レプトンは電磁気力と弱い力で相互作用するが、強い力では相互作用しない。電子、ミュー粒子、タウ粒子は全て電荷$-1$を持っているのに対して、ニュートリノは電気的に中性である。レプトンは全てスピンが$1/2$でフェルミオンなので注意。

クォークとレプトンの反粒子は基本的には元々の名前に「反」を付けるか電荷をひっくり返すだけで良いが、電子だけは例外で、電子の反粒子は陽電子である。また、クォークとニュートリノの反粒子は$\bar{u}$、$\bar{\nu}_e$などのように元々の粒子の記号にバーを付ける。レプトンの時と同様に、反クォークの電荷はクォークの電荷の逆符号である。例えば、$u$の電荷は$+2/3$なので$\bar{u}$の電荷は$-2/3$である。

$3$種類の力は力の強さも実験的な特徴もそれぞれ異なる。強い力で相互作用をする粒子の寿命は$10^{-23}~\text{s}$である。例えば、トップクォークは重すぎて束縛状態を形成する前に崩壊してしまう。電磁気力で相互作用をする粒子の寿命は$10^{-18}\sim10^{-16}~\text{s}$ほどで、光子を放出する。弱い力で相互作用をする粒子の寿命は$10^{-10}\sim10^{-8}~\text{s}$ほどで、(常に放出する訳ではないが、)ニュートリノを放出する傾向がある。弱い力の相互作用で最も馴染みのある例はベータ崩壊である。ベータ崩壊ではニュートリノが放出されるという証拠を一番最初に提供した。放出された電子の変化するエネルギースペクトルは$2$体崩壊ではなく$3$体崩壊を示唆するからである。ここで、力の強さが崩壊の速さに対応していることに注意しなければならない。これらのようにどの崩壊がどの力と関連しているかを問う問題は頻出であるが、崩壊過程と寿命を見るだけでどの力が効いているのかを正確に判別することは一般に可能なのではないことに注意する必要がある。強く減衰しているにもかかわらず非常に長い寿命を持つように共謀している粒子と、$2$つの異なる力によって同じ最終状態に崩壊する粒子が存在するためである。しかし、これら$2$つの要因を組み合わせればある程度まで推測することができる。例えば、$2$つの光子に崩壊する寿命$10^{-17}~\text{s}$の粒子が見られる場合、電磁気力が原因であると確信できる。

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