ベクトル超場
第2の超場としてベクトル超場を考えてみよう。ベクトル場V(x,θ,ˉθ)は一般の超場(182)に以下の実共変条件を課すことよって決定される。
V(x,θ,ˉθ)=V†(x,θ,ˉθ)
この実共変条件を満たす、最も一般的な超場は以下で与えられる。
V(x,θ,ˉθ)=C(x)+iθχ(x)−iˉθˉχ(x)+i2θ2(M(x)+iN(x))−i2ˉθ2(M(x)−iN(x))−θσμˉθAμ(x)+iθ2ˉθ(ˉλ(x)+i2ˉσμ∂μχ(x))−iˉθ2θ(λ(x)+i2σμ∂μˉχ(x))+12θ2ˉθ2(D(x)+12∂ρ∂ρC(x))
ここで、この式には8つのBoson 的自由度がある(複素スカラー場C(x)、2つの実場N(x)とM(x)、ベクトル場Aμ(x))。同様に、Fermion 的自由度も8つある(χ(x)、ˉχ(x)、λ(x)、ˉλ(x))。次に、いくつかの場が0になるように取ることの出来るゲージを定義出来ることを見よう。一般のカイラル場Φ(x,θ,ˉθ)とその反カイラル場Φ†(x,θ,ˉθ)を考えよう。(188)より、これらの和は以下で与えられる。
Φ+Φ†=ϕ(x)+ϕ∗(x)+√2θψ(x)+√2ˉθˉψ(x)+θ2F(x)+ˉθ2F∗(x)+iθσμˉθ∂μ(ϕ(x)−ϕ∗(x))+i√2θ2ˉθˉσμ∂μψ(x)+i√2ˉθ2θσμ∂μˉψ(x)+14θ2ˉθ2∂ρ∂ρ(ϕ(x)+ϕ∗(x))
このとき、C(x)=N(x)=M(x)=χ(x)=ˉχ(x)=0となるようなゲージ変換、
V↦V+Φ+Φ†
が存在する。このゲージのことを、Wess-Zumino ゲージ、あるいは略してWZ ゲージと呼び、VWZ(x,θ,ˉθ)の展開は
VWZ(x,θ,ˉθ)=−θσμˉθAμ(x)+iθ2ˉθˉλ(x)−iˉθ2θλ(x)+12θ2ˉθ2D(x)
となる。Wess-Zumino ゲージでは、ゲージ場Aμ(x)と、補助場Dと等価なゲージーノλだけが現れる。
問題
次の式を示せ。
V2WZ=−12θ2ˉθ2Aμ(x)Aμ(x) 、 VnWZ=0 for n≥3
解答
VnWZ=0 for n≥3は自明。V2WZの式を示すには以下の公式を利用する。
(θσμˉθ)(θσνˉθ)=−12ημν(θθ)(ˉθˉθ)
これより
V2WZ=(θσμˉθ)(θσνˉθ)Aμ(x)Aν(x)=−12θ2ˉθ2Aμ(x)Aμ(x)
よって題意は示された。
問題
ゲージ変換(196)を成分に分解することで、それが正準ゲージ変換に対応することを示せ。
解答
以下のように計算する。
V′=V+Φ+Φ†=C(x)+ϕ(x)+ϕ∗(x)+θ{iχ(x)+√2ψ(x)}+ˉθ{−iˉχ(x)+√2ˉψ(x)}+θ2[i2{M(x)+iN(x)}+F(x)]+ˉθ2[i2{M(x)−iN(x)}+F∗(x)]−θσμˉθ[Aμ(x)−i∂μ{ϕ(x)+ϕ∗(x)}]+i2θ2ˉθ[2ˉλ(x)+ˉσμ∂μ{iχ(x)+√2ψ(x)}]−i2θ2ˉθ[2λ(x)+σμ∂μ{iˉχ(x)−√2ˉψ(x)}]+14[2D(x)+∂ρ∂ρ{C(x)+ϕ(x)+ϕ∗(x)}]