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【超対称性理論】第29講 ベクトル超場1

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ベクトル超場

第2の超場としてベクトル超場を考えてみよう。ベクトル場V(x,θ,ˉθ)は一般の超場(182)に以下の実共変条件を課すことよって決定される。

V(x,θ,ˉθ)=V(x,θ,ˉθ)

この実共変条件を満たす、最も一般的な超場は以下で与えられる。

V(x,θ,ˉθ)=C(x)+iθχ(x)iˉθˉχ(x)+i2θ2(M(x)+iN(x))i2ˉθ2(M(x)iN(x))θσμˉθAμ(x)+iθ2ˉθ(ˉλ(x)+i2ˉσμμχ(x))iˉθ2θ(λ(x)+i2σμμˉχ(x))+12θ2ˉθ2(D(x)+12ρρC(x))

ここで、この式には8つのBoson 的自由度がある(複素スカラー場C(x)2つの実場N(x)M(x)、ベクトル場Aμ(x))。同様に、Fermion 的自由度も8つある(χ(x)ˉχ(x)λ(x)ˉλ(x))。次に、いくつかの場が0になるように取ることの出来るゲージを定義出来ることを見よう。一般のカイラル場Φ(x,θ,ˉθ)とその反カイラル場Φ(x,θ,ˉθ)を考えよう。(188)より、これらの和は以下で与えられる。

Φ+Φ=ϕ(x)+ϕ(x)+2θψ(x)+2ˉθˉψ(x)+θ2F(x)+ˉθ2F(x)+iθσμˉθμ(ϕ(x)ϕ(x))+i2θ2ˉθˉσμμψ(x)+i2ˉθ2θσμμˉψ(x)+14θ2ˉθ2ρρ(ϕ(x)+ϕ(x))

このとき、C(x)=N(x)=M(x)=χ(x)=ˉχ(x)=0となるようなゲージ変換、

VV+Φ+Φ

が存在する。このゲージのことを、Wess-Zumino ゲージ、あるいは略してWZ ゲージと呼び、VWZ(x,θ,ˉθ)の展開は

VWZ(x,θ,ˉθ)=θσμˉθAμ(x)+iθ2ˉθˉλ(x)iˉθ2θλ(x)+12θ2ˉθ2D(x)

となる。Wess-Zumino ゲージでは、ゲージ場Aμ(x)と、補助場Dと等価なゲージーノλだけが現れる。

問題

次の式を示せ。

V2WZ=12θ2ˉθ2Aμ(x)Aμ(x)  VnWZ=0 for n3

解答

VnWZ=0 for n3は自明。V2WZの式を示すには以下の公式を利用する。
(θσμˉθ)(θσνˉθ)=12ημν(θθ)(ˉθˉθ)


これより
V2WZ=(θσμˉθ)(θσνˉθ)Aμ(x)Aν(x)=12θ2ˉθ2Aμ(x)Aμ(x)

よって題意は示された。

問題

ゲージ変換(196)を成分に分解することで、それが正準ゲージ変換に対応することを示せ。

解答

以下のように計算する。

V=V+Φ+Φ=C(x)+ϕ(x)+ϕ(x)+θ{iχ(x)+2ψ(x)}+ˉθ{iˉχ(x)+2ˉψ(x)}+θ2[i2{M(x)+iN(x)}+F(x)]+ˉθ2[i2{M(x)iN(x)}+F(x)]θσμˉθ[Aμ(x)iμ{ϕ(x)+ϕ(x)}]+i2θ2ˉθ[2ˉλ(x)+ˉσμμ{iχ(x)+2ψ(x)}]i2θ2ˉθ[2λ(x)+σμμ{iˉχ(x)2ˉψ(x)}]+14[2D(x)+ρρ{C(x)+ϕ(x)+ϕ(x)}]

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