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【波動論】光学3-偏極と分散

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$\def\bm#1{{\boldsymbol{#1}}}$
$\def\rmd#1{\mathrm{d}{#1}}$

波動論05

今回も波動論について学習していきましょう。
今回は光の様々な性質についてまとめていきます。
この授業では波動論の様々な分野をなるべく簡単な言葉で要約していくことを目指します。

Malus の法則

$\hat{\bm{n}}_0$の方向に偏極させる偏極板に、偏極軸から$\theta$だけ傾いた強度$I_0$の光を入射させることを考える。偏光する前の光の電場を$E_0$とすると、透過する成分は$\hat{\bm{n}}_0\cdot\hat{\bm{n}}=\cos{\theta}$から、$E=E_0\cos{\theta}$と書ける。出射される光の強度は$E^2$に比例するので、

\begin{equation}
I=I_0\cos^2{\theta}
\end{equation}

と与えられる。これをMalus の法則という。

Brewster の法則

屈折率$n_1$と屈折率$n_2$の物質が接している状況で光の入射角が

Brewster 角

と呼ばれる角度$\theta_\text{B}$に一致したとき、反射光線と屈折光線が直交することが実験的に知られている。反射の法則により反射角はBrewster 角に等しいから、屈折角は$90^\circ-\theta_{\text{B}}$で与えられる。このとき、Snell の法則より、

\begin{equation}
n_1\sin{\theta_\text{B}}=n_2\sin{(90^\circ-\theta_{\text{B}})}=n_2\cos{\theta_{\text{B}}}
\end{equation}

だから、$\theta_{\text{B}}$について解くと以下の関係式が得られる。

\begin{equation}
\theta_\text{B}=\arctan{\left(\dfrac{n_2}{n_1}\right)}
\end{equation}

これをBrewster の法則という。

分散

太陽光線をプリズムに当てると、屈折角の小さいほうから順に、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の色に分かれる。このときの光の波長はこの順序で$\lambda=800\sim380~[\mathrm{nm}]$である。これを光の分散という。これは光の波長によってガラスの屈折率が異なることによって起こる現象である(波長が長いほど屈折率が小さい。)。このように光を波長によって分けたものをスペクトルという。

Rayleigh 散乱

粒子の大きさ$a$に対して波長$\lambda$が$\lambda\gg a$であるとき、Rayleigh 散乱を考える必要がある($\lambda\ll a$はレンズなどの幾何光学の領域で、$\lambda\sim a$ならMie 散乱を考える必要がある。レンズについては既に議論している。Mie 散乱は通常の問題の出題難易度を遥かに上回るため、ここでは議論しない。)。強度に関する以下の公式を覚えるだけで良い。

\begin{equation}
I\propto I_0\lambda^{-4}a^6\label{Rayleigh}
\end{equation}

特に、$\lambda^{-4}$依存性が最もよく問われる。空やたばこの煙が青く見えるのは$\lambda^{-4}$依存性によるものである「光の波長が短い・振動数が大きいほど散乱の現象が著しくなる。紫色の光は大気によく吸収されるため、空は青色に見える。」。すなわち、短波長の光の方が長波長の光よりも強く散乱が起こる。

また、この$\lambda^{-4}$依存性は電磁気学の双極子放射の$\omega^{4}$依存性と同じ物理をあらわしている。

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