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【素粒子物理学】素粒子物理学2-原子物理学

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$\def\bm#1{{\boldsymbol{#1}}}$
$\def\rmd#1{\mathrm{d}{#1}}$
$\def\Braket#1{\langle{#1}\rangle}$
$\def\Bra#1{\langle{#1}|}$
$\def\Ket#1{|{#1}\rangle}$
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$\def\dag{\dagger}$

素粒子物理学2

ここでは原子物理学の基本をまとめていきます。

原子核物理学:基底状態

陽子と中性子は素粒子ではなく、素粒子の複合物である。一般に、これらを扱うには場の量子論が必要であるが、低エネルギーの場合は原子核物理学の範疇に落とし込むことができる。すなわち、クォーク模型を適用して、陽子は$uud$の束縛状態、中性子は$udd$の束縛状態からなると考えることができる。カラーの閉じ込めによって、クォークは単独で自然界に現れることが無く、このように陽子と中性子の形で存在している。これらの束縛状態のことをカラー中性であるとかカラー$1$重項と呼ぶ。

強い相互作用をする粒子同士を高エネルギーで衝突させると、陽子や中性子よりも重い粒子を作ることができて、そのいくつかは核子の励起状態とみなすことができる。例えば、陽子の最初の励起状態は$\Delta^+$と命名されていて陽子と同じ質量を持つが、非常に重いため明確に$1$個の粒子であるとみなすことができる。一般に、クォークの束縛状態は、クォークと反クォークで構成される中間子と、$3$つのクォークで構成されるバリオンの$2$種類に分類される。スピンの合成に関する規則から、中間子のスピンは$1$または$0$、バリオンのスピンは$3/2$または$1/2$である。

最も軽いバリオンは陽子と中性子であるが、中性子は陽子よりもわずかに重い。これは中性子が$n\rightarrow p+e^-+\bar{\nu}_e$を介して崩壊することを意味している。この崩壊をベータ崩壊という。実際、自由な中性子は$15$分ほどで崩壊してしまう。核内では陽子と強く相互作用しているのでこの崩壊は抑制される。特定の原子核では、中性子はベータ崩壊する。

核がどんどん大きくなると、陽子同士の電磁反発が強い力を相殺し始め、原子核が破壊される。これによりアルファ崩壊が発生して、陽子と中性子を$2$つずつを放出する(つまり${}^4\text{He}$原子核を放出する。)。アルファ崩壊が発生する原因はトンネル効果である。典型的な核の直径は$10^{-15}~\text{m}$である。これよりも短距離になると電磁気力が支配的となるためである。

ガンマ線は核の励起状態からの光子の放出であり、ガンマ崩壊によって核の陽子と中性子の組成は変化しない。このとき放出されたガンマ線のエネルギーを測定すると、測定結果は実際の遷移エネルギーよりも低い値となる。これは原子の反跳によるエネルギーロスがあるためである。

元素$X$に対して、${}^A_ZX$と書かれているとき、$A$を質量数、$Z$を原子番号と呼ぶ。$A$は陽子の数と中性子の数の和、$Z$は陽子の数をあらわす。アルファ崩壊では${}^4_2\text{He}$が放出されるので、$A$は$4$、$Z$は$2$だけ減少する。ベータ崩壊では中性子が陽子となり電子が放出されるので、$Z$は$1$だけ増加するが$A$は変化しない。ガンマ崩壊では単に光が放出されるだけなので、$A$と$Z$は共に変化しない。原子核反応式では反応式の両辺で質量数の和と原子番号の和がそれぞれ等しいと考える。

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