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第32講:テータ関数とsn関数

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sn関数

楕円関数論における sn(u,k) 関数は、ヤコビ楕円関数 (Jacobi elliptic functions) の一つであり、楕円積分の逆関数として定義される。具体的には、sn は以下のように定義される。

定義

sn(u,k) は、以下の初等楕円積分の逆関数である。
u=ϕ0dθ1k2sin2θ,


ここでu は積分の値 (実数) であり、sn(u,k) はこれに対応する角度 ϕ に関連する関数である。また、k は楕円のモジュラスまたは楕円率で、0k1 を満たす定数である。

sn(u,k) は次のように定義される。
sn(u,k)=sinϕ,where u=ϕ0dθ1k2sin2θ.

sn(u,k) は三角関数 sin の一般化であり、k=0 の場合には通常の三角関数と一致する。この関数は物理学、特に振動や波動、力学に関連する問題で頻繁に現れます。

例えば、振り子の振動はふれ角が小さい場合は単振り子として近似できるが、そうでないばあいはこの楕円関数を用いて定式化することになる。

ここまででϑ関数の性質を様々なタイプで導出した。これらをsn関数などと関連付けよう。
さて、これまでの結果から、
{sn w=e1e3σ(u)σ3(u)cn w=σ1(u)σ3(u)(w=ue1e3)dn w=σ2(u)σ3(u)


であることが分かる。更に、以下の結果も導くことができる。

{sn w=ϑ3ϑ2ϑ1(v)ϑ0(v)cn w=ϑ0ϑ2ϑ2(v)ϑ0(v)dn w=ϑ0ϑ3ϑ3(v)ϑ0(v)

更に、k2の式を
k2=e2e3e1e3=ϑ24ϑ34


とすることができるから、k2は以下のようにあらわすことができる。
k2=1k2=ϑ34ϑ24ϑ34=ϑ04ϑ34

これらを用いると、snwなどは以下のように書き直される。
{sn w=1kϑ1(v)ϑ0(v)cn w=kkϑ2(v)ϑ0(v)dn w=kϑ3(v)ϑ0(v)

sn関数などではK,iKなどは既知であるとして良い。すなわち、
τ=ω3ω1=iKK


が求まり、qも求まる。そこでϑ関数を用いてsn, cn, dnの関数の値が計算される。

参考文献

参考文献は以下の通り。

[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。

[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。

[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001

[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49  ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。

[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017

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