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【超対称性理論】第25講 トイモデル1

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トイモデル

ここまでで我々はPoincare 代数を超対称性代数に拡張した。勿論、超対称性変換において不変であり、Noether 電荷が超対称性代数の下で発生するような場の理論が見つけられるのかという疑問が生ずるであろう。この小節では、最も簡単なモデルとして、成分がψαの左巻きフェルミオンと複素スカラー場ϕN=1超対称性カイラル多重項に基づいた4次元の超対称性場の理論を考える。

簡単のため、質量と相互作用がない場合を考えよう。このときのLagrangian は、

L=μϕμϕiˉψˉσμμψ

となる。ここで、ψはWeyl フェルミオンであり、これに略記法ˉψ=ψを利用する。Lagrangian (160)は以下の超対称性変換の下で不変である。

δϵϕ=2ϵψ  δϵψα=2i(σμˉϵ)αμϕ

但し、ϵ(成分はϵα)は、超対称性変換でパラメトライズされた微小で反交換な2成分Weyl スピノールである。特に、ϵは時空の変数xμに依存していないから、(161)はLagrangian (160)の大域的対称性になっている。

問題

Lagrangian (160)は超対称性変換(161)の下で不変であることを示せ。(161)において時空依存性ϵ(x)を考えることで、関連する超電流を構成せよ。

解答

LScalar:=μϕμϕLFermion:=iˉψˉσμμψとおく。

スカラーの項は、今、δϵϕ=2ϵψδϵϕ=2ˉϵˉψだから、
δLScalar=2ϵμψμϕ+2ˉϵμϕμˉψ


となる。一方で、Fermion の項は、今、δϵψ=2iσμˉϵμϕδϵˉψ=2iϵσμμϕだから、

δLFermion=2ϵσνˉσμνϕμψ+2ˉϵˉψˉσμσνμνϕ=2ϵσνˉσμν(ϕμψ)+2ϵσνˉσμϕνμψ+2ˉϵˉψˉσμσνμνϕ

となる。ここで、σμˉσμの定義を思い出せば、

σνˉσμ=12{σνˉσμ+σμˉσν}12[σνˉσμσμˉσν]=ηνμ12[σνˉσμσμˉσν]

である。[]の部分は、nuμ=μνという対称性を考慮すれば0になるので、
2ϵσνˉσμϕνμψ=2ϵϕ2ψ=2ϵμ(ϕμψ)2ϵμϕμψ


となる。同様にして、
2ˉϵˉψˉσμσνμνϕ=2ˉϵμ(ˉψμϕ)2ˉϵμˉψμϕ

である。従って、δLFermionは、
δLFermion=2ϵμϕμψ2ˉϵμˉψμϕ+2μ(ϵϕμψˉϵˉψμϕϵϕμψ)

となる。従って、スカラーとFermion のLagrangian を合わせると、
δL=2μ(ϵϕμψˉϵˉψμϕϵϕμψ)

となる。よって、δS=d4xδL=0である。

問題

超対称性に関連したWeyl スピノールNoether 電荷Qを構成せよ。また、同時刻(反)交換関係を用いて以下の式が成り立つことを示せ。
iδϵϕ=[ϵQ+ˉϵˉQ,ϕ]  iδϵϕ=[ϵQ+ˉϵˉQ,ψ]

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