今回は前回に引き続いてベクトル超場について解説を行う。演習問題をメインに解説を進めていくので手を動かしながら追いついてもらいたい。
ベクトル超場
超場VはYang-Mills ポテンシャルの超対称な一般化とみなすことが出来る。Yang-Mills 場の強さの一般化は、ゲージ不変なカイラル超場Wαと反カイラル超場ˉW˙αに翻訳されて、
Wα=−14ˉD2DαV 、 ˉW˙α=−14D2ˉD˙αV
となる。場の強さWαとˉW˙αの成分の展開は、y+:=x+iθσˉθとy−:=x−iθσˉθを用いることで与えられて、
{Wα=−iλα(y−)+{δαβD(y+)−i2(σμˉσν)βαFμν(y−)}θβ+θθσμα˙α∂μˉλ˙α(y−)ˉW˙α=iˉλ˙α(y+)+{ϵ˙α˙βD(y−)+i2ϵ˙α˙γ(ˉσμσν)˙β˙γFμν(y+)}ˉθ˙β−ϵ˙α˙βˉθˉθˉσμ˙β˙α∂μλα(y+)
となる。但し、ゲージ場Aμに関連する場の強さテンソルFμνを
Fμν:=∂μAν−∂νAμ
と導入した。
問題
ˉD˙βWα=DβˉW˙α=0が成り立つことと、Wαがゲージ変換(196)の下で不変であることを示せ。
解答
前半を示すためにはD3=ˉD3=0を用いれば良い。
{ˉD˙βWα=ˉD˙β(−14ˉD2DαV)ˉD3=0=0DβˉW˙α=Dβ(−14D2ˉD˙αV)D3=0=0
これを用いて後半を示す。
Wα⟶Wα′=−14ˉD2DαV′=−14ˉD2Dα(V+Φ+Φ†)=−14ˉD2DαV−14ˉD2DαΦ−14ˉD2DαΦ†DαΦ†=0=Wα−14ˉD2DαΦˉD˙αΦ=0=Wα−14ˉD2DαΦ−14ˉD˙αDαˉD˙αΦ=Wα−14ˉD˙α{ˉD˙α,Dα}Φ(181)=Wα−14ˉD˙α×(−2σμ˙ααPμ)Φ=Wα+12σμ˙ααPμˉD˙αΦˉD˙αΦ=0=Wα
よって題意は示された。
問題
WαとˉW˙αが拘束条件DαWα=ˉD˙αˉW˙αを満たすことを示せ。
解答
これを示すには、公式ˉD˙αD2ˉD˙α=DαˉD2Dαが必要であるから、まずこれが成り立つことを示すことにしよう。この公式を示すためには、更に次の2つの公式を示す必要がある。
{[Dα,ˉD2]=−4iσμα˙αˉD˙α∂μ[ˉD˙α,D2]=4iDασμα˙α∂μ
(181)より、
{(DαˉD˙α+ˉD˙αDα)ˉD˙α⏟=ˉD˙α(−ˉD˙αDα+2iσμα˙α∂μϵ˙α˙β)=DαˉD2+ˉD˙α(−ˉD˙αDα+2iσμα˙γ∂μϵ˙γ˙α)=−2iσμα˙αˉD˙α∂μ(DαˉD˙α+ˉD˙αDα)ϵ˙α˙βˉD˙β=−ˉD˙αϵ˙α˙β=−(DαˉD˙β+ˉD˙βDα)=−2iσμα˙α∂μϵ˙α˙β
となる。これら2つの式を足し合わせれば、
[Dα,ˉD2]=−2i(σμα˙αˉD˙α+ˉD˙ασμα˙γϵ˙γ˙α)∂μ=−4iσμα˙αˉD˙α∂μ
これで1つ目の式が示せた。同様に(181)より、
{Dα(DαˉD˙α+ˉD˙αDα)=−2iDασμα˙α∂μϵαβ(DβˉD˙α+ˉD˙αDβ)=DαˉD˙α+ˉD˙αDα=−2iϵαβσμβ˙α∂μ
となる。これら2つの式を足し合わせれば、
[D2,ˉD˙α]=2i(ϵαβσμβ˙α∂μDα−Dασμα˙α∂μ)=−4iDασμα˙α∂μ
これで2つ目の式も示せた。これで準備が整った。今示した式ˉD˙αD2ˉD˙α=DαˉD2Dαを利用して、以下のように題意を示す。
ˉD˙αˉW˙α=ϵ˙α˙βˉD˙αˉW˙β=ϵ˙α˙β{−14ˉD˙αD2ˉD˙βV(x,θ,ˉθ)}=−14ˉD˙αD2ˉD˙αV(x,θ,ˉθ)ˉD˙αD2ˉD˙α=DαˉD2Dα=−14DαˉD2DαV(x,θ,ˉθ)=DαWα
よって題意は示された。
問題
以下が成り立つことを確かめよ。
WαWα|θ2=−2iλ(x)σμ∂μˉλ(x)−12FμνFμν+D2+i4ϵμνρσFμνFρσ
非可換ゲージ理論において、超対称な場の強さは以下の形をとる。
Wα=−14ˉDˉD(e−VDαeV) 、 ˉW˙α=14DD(eVˉD˙αe−V)
これらはゲージ変換の下で、
Wα↦e−iΛWαeiΛ 、 ˉW˙α↦e−iˉΛˉW˙αeiˉΛ
と変換する。但し、ΛはカイラルでˉΛは反カイラルである。