回転
ナブラ演算子の定義から、回転を次のように定義する。
∇×v=|ˆxˆyˆz∂/∂x∂/∂y∂/∂zvxvyvz|=ˆx(∂vz∂y−∂vy∂z)+ˆy(∂vx∂z−∂vz∂x)+ˆz(∂vy∂x−∂vx∂y)
ベクトル関数vの回転∇×vはベクトルとなることに注意せよ(スカラー関数の回転のようなものは存在しない。)。
幾何学的には、回転という名前は上手くつけられていて、∇×vはベクトルvが考えている点の周りでどれくらい渦を巻くかをあらわしている。
従って、以前の図1.18の3つの図はどれも回転が0であることが直ちに確認出来る。
これに対して、図1.19の2つの図はz方向の周りで回転があり、その向きは右ねじを回す向きになっている。再び池の縁に立っている姿を想像してみよう。
近くに小さな歯車を浮かべてみて、それが回転したならあなたが立っているところの周りには0でない回転があるということになる。渦巻きが目に見えて出来ているところは、特に回転が大きいところである。
図1.19(a)
図1.19(b)
問題
図19の関数はそれぞれ、va=−yˆx+xˆy、vb=xˆyである。これらの回転をそれぞれ計算せよ。
解説
以下のように計算する。
∇×va=|ˆxˆyˆz∂/∂x∂/∂y∂/∂z−yx0|=2ˆz
∇×vb=|ˆxˆyˆz∂/∂x∂/∂y∂/∂z0x0|=ˆz
予想していたように、これらは+z方向への回転となっている。また、これらには発散がない。これも予想していた結果であるから、それぞれ理にかなっている結果である。
積法則
常微分の計算は計算法則を導入することで容易に実行出来るようになる。和法則は以下のような式になる。
ddx(f+g)=dfdx+dgdx
定数kを掛けた場合の法則は次のとおりである。
ddx(kf)=kdfdx
積法則は次のとおりである。
ddx(fg)=fdgdx+gdfdx
そして商法則は以下のようになる。
ddx(fg)=gdfdx−fdgdxg2
同じような関係式がベクトルの微分でも成り立つ。従って、以下のような6つの式が成り立つ。
{∇(f+g)=∇f+∇g∇⋅(A+B)=(∇⋅A)+(∇⋅B)∇×(A+B)=(∇×A)+(∇×B)∇(kf)=k∇f∇⋅(kA)=k(∇⋅A)∇×(kA)=k(∇×A)
これらが成り立つことは直ちに計算して確かめることが出来る。但し、積法則はこれほど単純ではない。スカラーを構成する方法は2つのスカラーの積fgと2つのベクトルの内積A⋅Bという2通りあるし、ベクトルを構成する方法も1つのスカラーと1つのベクトルの積fAと2つのベクトルの外積A×Bという2通りがあるためである。
このような状況によって、6つの積法則が成り立つことになる。勾配についての法則、発散についての法則、回転についての法則がそれぞれ2つずつとなっている。
(1)∇(fg)=f∇g+g∇f
(2)∇(A⋅B)=A×(∇×B)+B×(∇×A)+(A⋅∇)B+(B⋅∇)A
(3)∇⋅(fA)=f(∇⋅A)+A⋅(∇f)
(4)∇⋅(A×B)=B⋅(∇×A)−A⋅(∇×B)
(5)∇×(fA)=f(∇×A)−A×(∇f)
(6)∇×(A×B)=(B⋅∇)A−(A⋅∇)B+A(∇⋅B)−B(∇⋅A)
これらの規則は非常に頻繁に使うことになる。これらの式が成り立つことの証明は非常に簡単で、実際に計算してみればよい。例えば、以下のように計算する。
∇⋅(fA)=∂∂x(fAx)+∂∂y(fAy)+∂∂z(fAz)=(∂f∂xAx+f∂Ax∂x)+(∂f∂yAy+f∂Ay∂y)+(∂f∂zAz+f∂Az∂z)=(∇f)⋅A+f(∇⋅A)
同様に以下の3つの商法則も定式化することが出来る。
{∇(fg)=g∇f−f∇gg2∇⋅(Ag)=g(∇⋅A)−A⋅(∇g)g2∇×(Ag)=g(∇×A)−A×(∇g)g2
しかし、これらは積法則から直ちに得られるので、あえて積法則と分けて述べるべき要点はない。