『場の量子論と対称性』の講義の続きとして今回からは共形場理論の話をする。以下では『場の量子論と対称性』の10個の講義の話を前提として話をするので適宜参照して頂きたい。
共形場理論(Conformal Field Theory, CFT)とは、共形変換という種類の変換に対して作用が不変な場の理論の総称である。特に、2次元系では複素関数論で扱ったRiemann 面上における理論として議論することが出来る。
今後はまず共形変換とその代数について議論する。ここでは量子力学や場の量子論で出てきた対称性が出てくるので、必要に応じて適切な箇所を復習してほしい。
共形代数
Euclid 時空において、Poincare 群は共形群に拡張される。この群は角度を保存する変換で構成されている。Minkowski 時空において、共形変換は局所的な因果律を保存するような変換として定義される。すなわち、空間的(時間的)な分離点は変換によってそのまま空間的(時間的)な分離点に写される。特に、光的な分離点はそのまま光的な分離点に写る。
計量gμνを用いて、非自明な線素ds2=gμν(x)dxμdxνを考えてみると、共形変換はスケールパラメーターに依存する任意の(但し、正の!)時空において計量gμνを不変にする変換であるとみなすことができる。すなわち、共形変換とは
gμν(x)↦Ω(x)−2gμν(x):=e2σ(x)gμν(x)
となるような変換x↦˜x=f(x)である。従って、共形変換は微小な時空の間隔をds′2=e2σ(x)ds2に変換するが(本によってはここがσ(x)とされていることもある。)、角度は局所的に不変なまま保ち、因果構造を保存するということが言える。
平らな時空、すなわち、gμν=ημνの場合の共形変換を決定しよう。微小変換xμ↦˜xμ=xμ+ϵμ(x)において、計量は次のように変換する。
ημν↦ημν+∂μϵν+∂νϵμ
定義(48)を用いると、微小な共形変換は
∂μϵν+∂νϵμ=2σ(x)ημν
を満たす必要がある。但し、Ω(x)=1−σ(x)+O(σ2)を用いた。両辺をημνで縮約をとると、d次元について∂⋅ϵ=∂μϵμ=σ(x)⋅dを得る。従って、微小変換はϵ(x)が
{ημν∂ρ∂ρ+(d−2)∂μ∂ν}∂⋅ϵ=0
を満たすなら共形変換である。(50)に∂ρなどを作用させると、次の式を得る。
{−∂ρ∂μϵν−∂ρ∂νϵμ=−2∂ρσ(x)ημν+∂ν∂ρϵμ+∂μ∂νϵρ=+2∂νσ(x)ηρμ+∂μ∂νϵρ+∂ρ∂μϵν=+2∂μσ(x)ηνρ
これらを辺々足し合わせた式∂μ∂νϵρ=(−ημν∂ρ+ηρμ∂μ+ηνρ∂μ)σ(x)にημνを作用させてμとνを縮約させると∂2ϵρ=(2−d)∂ρσ(x)を得る。一方で(50)に∂2を作用させると、
2ημν∂2σ(x)=∂2(∂μϵν+∂νϵμ)=2(2−d)∂μ∂νσ(x)
となる。よって、{ημν∂ρ∂ρ+(d−2)∂μ∂ν}σ(x)={ημν∂ρ∂ρ+(d−2)∂μ∂ν}∂⋅ϵ=0となって、(51)を得る。注目すべきは、d=2と設定したとき(51)が簡単化されるということである。これは後で驚くべき結果をもたらすことになる。従って、この後、この節ではd=2の場合とd>2の場合に分けて考える。まず、d>2の場合について次の講義で考えてみることにしよう。
そこで、第12・13講ではd>2における共形代数を扱う。代数の計算は一度自分でやったほうが理解も深まると思うから、ここでは演習問題を交えながら話を進めていく。そして第14講ではd=2における共形代数を扱う。