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【共形場理論】第14講 d=2次元における共形代数

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d=2次元における共形代数

2次元と言う特殊な場合(今、平らな時空gμν=δμνを考えている。)は、微小な共形変換を特徴付ける条件(51)はシンプルな形になる。変換zw(z)が共形変換になるためには、
δμν(wμzα)(wβzν)δαβδμν


となる必要がある。添字に12を代入すれば、具体的に以下のような式が導ける。
{(w0z0)(w0z0)+(w0z1)(w0z1)=(w1z0)(w1z0)+(w1z1)(w1z1)(w1z0)(w0z0)+(w0z1)(w1z1)=0

従って、微小な共形変換を特徴付ける条件は
0w1=±1w0  0w0=1w1 ()

となる。この講義では、0w1=1w00w0=+1w1を採用している。

0ϵ1=1ϵ0  0ϵ0=1ϵ1

これらの方程式は複素解析におけるCauchy-Riemann の微分方程式になるということが容易に分かるが、ここでは複素座標をz=x0+ix1ˉz=x0ix1と導入するのが便利である。従って、ϵ=ϵ0+iϵ1zの関数、すなわち正則であり、一方でˉϵ=ϵ0iϵ1ˉzの関数、すなわち反正則である。ϵ(z)ˉϵ(ˉz)は次のようにLaurent 展開出来る。

ϵ(z)=nZϵnZn+1  ˉϵ(ˉz)=nZˉϵnˉzn+1

従って、zz=z+ϵ(z)ˉzˉz=ˉz+ˉϵ(ˉz)によって与えられる微小変換は共形である。ϵn,ˉϵn0のみが条件として与えられているときの共形変換の生成子は

ln=zn+1z  ˉln=ˉzn+1ˉz

となる。

問題

生成子lnˉlmの交換関係が以下であらわされることを示せ。

[ln,lm]=(mn)lm+n  [ˉln,ˉlm]=(mn)ˉlm+n  [ln,ˉlm]=0

特に生成子{l1,l0,l1}とその複素共役は有限次元の部分代数sl(2,R)sl(2,R)を生成する。この部分代数は大域的な共形変換に対応している。KμPμDはそれぞれl1l0l1に対応している。また、今、
sl(2,R)sl(2,R)sl(2,C)A=(abcd) (a,b,c,dC and detA=1)

という構造になっている。この部分集合は共形変換と同等であり、(52)で与えられるような2次元以上の場合でも存在している。その他の全てのnにおいて、この変換は局所的な共形変換になる。これらは高次元において、対応物を何も有していない。

生成子lnとその交換関係のみを考えよう。量子論において、対応する演算子Lnは次のように、僅かに異なる交換関係を満たす。

[Ln,Lm]=(mn)Lm+n+c12(m3m)δm+n,0

これはVirasoro 代数として知られている。ここで、係数cは中心電荷と呼ばれるものである。交換関係(72)における付加項は量子効果であり、他の全ての演算子Lnと自明に交換するような恒等演算子Iが掛かっている。従って、Virasoro 代数は代数(71)の中心拡大であると言われる。

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