エネルギー・運動量テンソルと共形場理論
場の量子論で見たNoether の定理に加えて、全ての連続対称性は保存電荷に関連付けられる。並進における保存電荷はエネルギー・運動量テンソルTμνであったのに対して、Lorentz 変換における保存電荷はNμνρ=xνTμρ−xρTμνによって与えられる。関連するNoether 電荷は次のようになる。
{Pν=∫dd−1xT0νMνρ=∫dd−1x(xνT0ρ−xρT0ν)
残された共形変換、すなわち、スケール変換と特殊共形変換もそれぞれ保存電流J(D)μ、J(K)μνを生じる。
J(D)μ=xνTμν 、 J(K)μν=x2Tμν−2xνxρTμρ
今、考えている作用の式は
δS=∫ddx {(E.o.M.)δϕi+∂μ(∂L∂(∂μϕi))δϕi}
である。右辺の中括弧{ }内の第2項は特に∂μTμνδxνと書ける。但し、
δϕi=∂νϕiδxν 、 Tμν=δLδ(∂μϕ)∂νϕi
である。このとき、カレントはTμνδxνであり、今は特にTμνϵμ(x)として考えている。
ϵμ(x)=aμ+ωμνxν+λxμ+bμx2−2(b⋅x)xμ
であるから、残りのスケール変換と特殊共形変換のチャージはそれぞれ(83)、(84)で与えられる。対応する生成子は次のようになる。
{D=∫dd−1xxρT0ρKν=∫dd−1x(x2T0ν−2xνxρT0ρ)
これらの対称性はエネルギー・運動量テンソルに制限を課す。場の量子論で見たように、これはLorentz 不変性と並進不変性によって添字に対して対称な、すなわち、Tμν=Tνμが成り立ち修正エネルギー・運動量テンソルと呼ばれるものになる。もし理論においてスケール変換不変性が考慮されている場合には、そのエネルギー・運動量テンソルはトレースレス、すなわち、Tμμ=0となる必要がある。何故なら、
0=∂νJ(D)ν=∂ν(xρTνρ)=(∂νxρ)Tνρ+xρ∂νTνρ⏟並進の式より0となる=Tρρ
となるからである。スケール変換による電荷、あるいはそれに対応した電流はそれぞれスケール変換を生成する。従って、エネルギー・運動量テンソルがトレースレスであることは場の古典論におけるスケール不変性を保証する。
問題
Lorentz 符号のエネルギー・運動量テンソルを以下で定義する。
Tμν=−2√−gδSδgμν
但し、S=∫ddx√−gLは古典的な作用である。Tμνは対称かつゲージ不変であることも分かっている。作用Sの場の理論がスケール不変であるなら、Tμνがトレースレスであることを示せ。