3点関数と演算子積展開
d次元の共形プライマリー場における、共形的に共変な3点関数の一般的な公式は、(65)で定義したベクトルZと(62)で与えられたO(d)の表現であるような反転行列Iをあらわす適切な表現Dを用いて、簡単に構成することが出来る。3つの任意の共形プライマリー演算子の3点関数の最も一般的な表記は
⟨Oi1(x)Oj2(y)Ok3(z)⟩=Di1i′(I(x−z))Dj2j′(I(y−z))ti′j′k(Z)(x−z)2Δ1(y−z)2Δ2
である。但し、D1、D2はそれぞれO(d)の適切な表現であり、演算子Oi1、Oj2にそれぞれ作用する。更に、tijkはZについて同次、すなわち、
tijk(λZ)=λΔ3−Δ1−Δ2tijk(Z)
であり、
Di1i′(R)Dj2j′(R)Dk3k′(R)ti′j′k′(Z)=tijk(RZ)
を全てのR∈O(d)において満たす必要がある。tがO(d)の変換の下で共変な同次関数であるということを保証してくれる、これらの条件は(100)が共形Ward 恒等式(87)を満たすという事を保証するのに十分である。今、十分条件の範囲で考えている。すなわち、扱う場をスカラーに限定せずに考えている。これは特に並進の関係(63)を任意の表現Dに拡張したことに依っている。(100)は3つの演算子の交換に対して対称でないように思われるが、それは見かけ上そうなっているように見えるだけであるということが次の問題で明らかになる。
問題
(100)が3つの演算子の交換に対して対称であるということを以下の手順で示せ。
- (i)
次の関係を示す。
lαμ(x−z)Zα=−(x−y)2(z−y)2Xμ
Iαμ(x−z)Iαν(z−y)=Iμν(x−y)+2(x−y)2XμYν
Iασ(y−z)Iαμ(z−x)=Iασ(y−x)Iαμ(X)
- (ii)
上の関係を用いて、次の等価な表記を得る。
⟨Oi1(x)Oj2(y)Ok3(z)⟩=Dj2j′(I(y−x))Dk3k′(I(z−x))tj′k′i(X)(x−y)2Δ2(x−z)2Δ3
但し、
tjki(X)=(X2)Δ1−Δ2Dj2j′(I(X))tij′k(−X)
- (iii)
Boson 場において、交換対称性が以下の式を要求することを示す。
tijk(Z)=tijk(−Z)=Dii′(I(Z))tki′j(−Z)
特別な演算子において、与えられた全ての条件を満たすt(Z)の最も一般的な式を得ることによって3点関数の明確な形を得ることが出来る。例えば、3点スカラー共形プライマリー演算子O1、O2、O3の場合、テンソルt(Z)は
t(Z)=CO1O2O3((x−z)(y−z)(x−y))Δ1+Δ2−Δ3
と得られるから、3点関数(100)は(92)と簡単化される。
一般の共形プライマリー演算子において、t(Z)は演算子積展開(OPE)における主要項を表現するから、直接的な重要性を持っている。
演算子積展開について補足する。n点関数⟨ϕ1(x1)ϕ2(x2)⋯ϕn(xn)⟩を考える。|x1−x2|≪|xi−xj|なら、⟨ϕ1(x1)ϕ2(x2)⋯ϕn(xn)⟩≃⟨ϕ′(x1,x2)ϕ3(x3)⋯ϕn(xn)⟩
のように、2つの演算子の積は、ある1つの局所的な演算子に見える。但し、ϕ1(x1)ϕ2(x2)≃ϕ′(x1,x2)であり、これを融合(fusion)という。ϕのベクトル空間をAとすると、ϕ×ϕ⟶ϕ、すなわち融合はA×A⟶Aという積を定義することである。この空間の基底が{ϕi}i=1,⋯,nであるとする。このとき、ϕ′(x1,x2)は
ϕ′(x,y)=ϕi(x)ϕj(y)=Dkij(x−y)ϕk(y)
と展開される。これが演算子積展開の考え方である。
x→yにおいてˉO3kから演算子積Oi1(x)Oj2(y)への主要な寄与は
Oi1(x)Oj2(y)∼1CO3tijk(x−y)ˉO3k(y)
と得られる。但し、CO3は2点関数⟨O3ˉO3⟩の規格化定数(94)である。計算すると、
⟨Oi1Oj2Ok3⟩∼1CO3tijk′(x−y)⟨O3k′ˉOk3⟩
となる。2点関数は先に規格化を議論しているから、結局、(110)となる。
明確な例として、3つのベクトルカレントの3点関数を得る。この場合、上で詳述した一般的な形式の応用すれば
⟨Jμ(x)Jν(y)Jω(z)⟩=1(x−z)2d−2(y−z)2d−2Iμα(x−z)Iνβ(y−z)tαβω(Z)
という結果を得る。但し、tμνω(Z)はパラメーターがそれぞれa、bの2つの独立した項を含んでいて、
tμνω(Z)=aZμZνZωZd+2+b1Zd(Zμδνω+Zνδμω−Zωδμν)
という形になっている。エネルギー・運動量テンソル3点関数における明確な表式は更に複雑である。一般に3つの独立した形式をもっている。3次元において、独立した形式の数は2つに減り、2次元においては1つに減る。Virasoro 中心電荷の場合も同様である。
4点関数
共形場理論においても、4点関数は2点関数と3点関数よりも制約が少ない。これは、4つの座標で2つの無次元不変量、つまり複比を構築することが可能であるという事実による。これらは
η=x212x234x213x224 、 ξ=x214x223x213x224
と与えられる。但し、x2ij:=(xi−xj)2 (i,j=1,⋯,4)である。共形次元がΔiのスカラー共形プライマリー演算子Oiの4点関数は一般に以下の形を取る。
⟨O(x1)O(x2)O(x3)O(x4)⟩=1xΔ1+Δ212xΔ3+Δ434F(η,ξ)
ここで、F(η,ξ)は、含まれている演算子2つの交換の下で4点関数が不変でなければならないということ以外の制約がない、2つの複比の関数である。
関数F(η,ξ)は(110)で導入した、2つの演算子のペアの連続した短距離極限、例えばx1→x2やx3→x4などをとることによって得られる2重演算子積展開を通じて決まる、演算子積展開係数に関係していて、
⟨OΔ1(x1)OΔ2(x2)OΔ3(x3)OΔ4(x4)⟩=∑ΔΔ′cΔ1Δ2ΔxΔ1+Δ2−Δ121xΔ+Δ′13cΔ3Δ4Δ′xΔ3+Δ4−Δ′34
である。それぞれ演算子積展開を行うと以下のようになる。
{OΔ1(x1)OΔ2(x2)≃∑ΔC(x1−x2)OΔ(x1)=cΔ1Δ2Δ(x1−x2)Δ1+Δ2OΔ(x1)OΔ3(x3)OΔ4(x4)≃∑Δ′C(x3−x4)OΔ′(x3)=cΔ3Δ4Δ′(x3−x4)Δ3+Δ4OΔ′(x3)
2点関数の係数は1と決めていたので、(115)の右辺では分子が1になっている。但し、cΔiΔjΔkは3点関数(92)または演算子積展開(109)によって決められる。