ベクトル解析演習1
今回はベクトル解析の外積の問題演習をしましょう。
要点のまとめ
2つの空間ベクトルaとbの外積a×bとは、向きがaとbに垂直で、a,b,a×bの順番で右手系をなすもので、大きさがa,bを2辺とする平行四辺形の面積と等しいようなベクトルと定義します。
ここで、内積と外積を混同しないようにしましょう。ベクトルの内積はスカラー、ベクトルの外積はベクトルです。
a,bが平行のときや少なくとも一方がゼロベクトルである場合は外積もゼロベクトル、すなわちa×b=0と定義します。
なお、線形代数では行列を左から作用させるために数ベクトルは列ベクトルであらわすことが多いですが、このコラムではスペースを節約するために行ベクトルであらわすことにします。
さて、任意のスカラーμ,νと任意のベクトルa,b,cについて以下の関係が成り立ちます。
a×a−0, a×b=−b×a,
(μa+νb)×c=μa×c+νb×c, a×(μb+νc)=μ(a×b)+ν(a×c)
特に、a=(a1,a2,a3), b=(b1,b2,b3)について以下が成り立ちます。
a×b=(a2b3−a3b2,a3b1−a1b3,a1b2−a2b1)
問題1
(1)
a=(2,−3,−1), b=(1,4,−2)のとき、a×b, b×a, a×aを直接求めよ。
(2)
a=(3,3,0), b=(0,6,2), c=(2,0,3)のとき、(a×b)×c, (a×b)⋅cを直接求めよ。
解答1
(1)
a=(2−3−1) ,b=(14−2)
より
a×b=(6+4−1+48+3)=(10311) , a×b=(−4−6−4+1−3−8)=(−10−3−11) ,
a×a=(3−3−2+2−6+6)=0
(2)
a=(330) , b=(062) , c=(203)
より
a×b=(6−00−618−0)=(6−618)
従って、
(a×b)×c=(−18−036−180+12)=(−181812) , (a×b)⋅c=12+0+54=66