ベクトル解析演習10
今回は三重積分の問題演習をしましょう。
要点のまとめ
直交座標(x,y,z)がx=rcosφsinθ,y=rsinφsinθ,z=rcosθによって極座標(r,θ,φ)に変換されたとして、{(r,θ,φ)|0≤r,0≤θ≤π,0≤φ≤2π}の内部にある有界な閉領域Wがxyz空間内の有界な閉領域Vに写されるものとします。このとき、V上の連続な関数f(x,y,z)に対して以下の式が成り立ちます。
∭Vf(x,y,z)dxdydz=∭Wf(rcosφsinθ,rsinφsinθ,rcosθ)r2sinθ drdθdφ
問題10
次の領域Dに関する重積分を計算しなさい。
(1)
∭Vdxdydz, V={(x,y,z)|x2+y2+z2≤4}
(2)
∭Vzdxdydz, V={(x,y,z)|x2+y2+z2≤1}
(3)
∭Vx2dxdydz, V={(x,y,z)|x2+y2+z2≤1,0≤x,0≤y,0≤z}
(4)
∭Vxyzdxdydz, V={(x,y,z)|x2+y2+z2≤4,0≤x,0≤y,0≤z}
解答10
(1)
座標(x,y,z)がx=rsinθcosφ,y=rsinθsinφ,z=rcosθによって極座標(r,θ,φ)に変換されたことによって、{(r,θ,φ)|0≤r≤2,0≤θ≤π,0≤φ≤2π}の内部にある有界閉領域Wが先の有界閉領域Vに写されるとすれば
∭Vdxdydz=∭Wr2sinθdrdθdφ=∫2π0{∫20(∫π0r2sinθdθ)dr}dφ
(2)
(1)と同様の座標変換によって, {(r,θ,φ)|0≤r≤1,0≤θ≤π,0≤φ≤2π}の内部にある有界閉領域Wが先の有界閉領域Vに写されるとすれば
∭Vz2dxdydz=∭Wr4cos2θsinθdrdθdφ=∫2π0{∫10(r4∫π0cos2θsinθdθ)dr}dφ
=215∫2π0dφ=415π
(3)
(1)と同様の座標変換によって, {(r,θ,φ)|0≤r≤1,0≤θ≤π2,0≤φ≤π2}の内部にある有界閉領域Wが先の有界閉領域Vに写されるとすれば
∭Vx2dxdydz=∭Wr4sin3θdrdθdφ=∫π20{∫10(r4∫π20sin3θdθ)dr}dφ ⋯(∗)
∫π20sin3θdθ=[−cosθsin2θ]π20+∫π20cos2θsinθdθ=23
よって(∗)は
∭Vx2dxdydz=∫π20(∫1023r4dr)dφ=π15
(4)
(1)と同様の座標変換によって, {(r,θ,φ)|0≤r≤2,0≤θ≤π2,0≤φ≤π2}の内部にある有界閉領域Wが先の有界閉領域Vに写されるとすれば
∭Vxyzdxdydz=∭Wr5sin3θcosθsinφcosφdrdθdφ
=∫20{∫π20(r5sinφcosφ∫π20sin3θcosθdθ)dφ}dr
=∫20(18r5∫π20sin2φdφ)dr=2612×14=43