ベクトル解析演習11
今回は曲面積の問題演習をしましょう。
要点のまとめ
以下、微分可能性を議論するのは面倒なので、スカラー関数やベクトル関数は全て滑らかであると仮定します。物理や工学での応用上はこれで充分です。また、定義域も空間全体R3とします。
uv平面内の有界なD上で定義されたC1級のベクトル値関数r(u,v)で与えられる向きづけられた曲面をSとし、Sの面積要素をdSとおく。このとき曲面積|S|は以下の式で与えられます。
|S|=∬D|∂r∂u×∂r∂v|dudv
また、xy平面内の有界な領域D上で定義されたC1級の関数z=f(x,y)で与えられる向きづけられた曲面Sの面積|S|は以下で与えられます。
|S|=∬D√1+(∂f∂x)2+(∂f∂y)2dxdy
問題11
(1)
トーラス面(x−R)2+z2=r2の曲面積を求めよ。
(2)
曲面z=tan−1yxのx2+y2≥1,0≤x,0≤yの部分の曲面積を求めよ。
解答11
(1)
r(u,v)=((R+rcosu)cosv(R+rcosu)sinvrsinu) |∂r∂u×∂r∂v|=(R+rcosu)r
であったので、求める曲面積|S|は
∫2π0{∫π0(R+rcosu)rdu}dv=2π2Rr
(2)
今、標準座標(x,y)がx=rcosθ,y=rsinθによって極座標(r,θ)に変換されたことによって、{(r,θ)|0≤r≤2,0≤θ≤π2}の内部にある有界閉領域Eがxy平面内の有界閉領域Dに写されるとすれば、求める曲面積|S|は
|S|=∬D√1+(∂z∂x)2+(∂z∂y)2dxdy=∬E√1+(∂z∂r)2+(∂z∂θ)2×rdrdθ
=∫π20(∫10rdr)dθ=π4