ベクトル解析演習9
今回は二重積分の積分変数を極座標に変更する場合の問題演習をしましょう。
要点のまとめ
直交座標(x,y)がx=rcosθ,y=rsinθによって極座標(r,θ)に変換されたとして、{(r,θ)|0≤r,0≤θ≤2π}の内部にある有界な閉領域Eがxy平面内の有界な閉領域Dに写されるものとします。このとき、D上の連続な関数f(x,y)に対して以下の式が成り立ちます。
∬Df(x,y)dxdy=∬Ef(rcosθ,rsinθ)r drdθ
問題9
次の領域Dに関する重積分を計算しなさい。
(1)
∬Dex2+y2dxdy, D={(x,y)|x2+y2≤4}
(2)
∬Dxydxdy, D={(x,y)|x2+y2≤4,0≤x,0≤y}
(3)
∬D(x2−y2)dxdy, D={(x,y)|x2+y2≤1,0≤y≤x}
(4)
∬D(x+y)2dxdy, D={(x,y)|x2+y2≤9}
(5)
∬Ddxdyx2+y2, D={(x,y)|4≤x2+y2≤9,0≤y}
(6)
∬Ddxdy(x2+y2)2, D={(x,y)|1≤x2+y2≤4}
(7)
∬Dtan−1yxdxdy, D={(x,y)|1≤x2+y2,0≤x,0≤y}
解答9
(1)
座標(x,y)がx=rcosθ,y=rsinθによって極座標(r,θ)に変換されたことによって、{(r,θ)|0≤r≤2,0≤θ≤2π}の内部にある有界閉領域Eが先の有界閉領域Dに写されるとすれば
∬Dex2+y2dxdy=∬Erer2drdθ=∫2π0(∫20rer2dr)dθ=π(e4−1)
(2)
(1)と同様の座標変換によって、{(r,θ)|0≤r≤2,0≤θ≤π}の内部にある有界閉領域Eが先の有界閉領域Dに写されるとすれば
∬Dxydxdy=∬Er3sinθcosθdrdθ=12∫20r3[−cos2θ2]π0dr=2
(3)
(1)と同様の座標変換によって、{(r,θ)|0≤r≤1,0≤θ≤π4}の内部にある有界閉領域Eが先の有界閉領域Dに写されるとすれば
∬D(x2−y2)dxdy=∬Er3cos2θdrdθ=∫π40(∫10r3cos2θdr)dθ=∫π4014cos2θdθ=18
(4)
(1)と同様の座標変換によって、{(r,θ)|0≤r≤3,0≤θ≤2π}の内部にある有界閉領域Eが先の有界閉領域Dに写されるとすれば
∬D(x+y)2dxdy=∬Er3(1+sin2θdrdθ=∫2π0{∫30r3(1+sin2θ)dr}dt=814∫2π0(1+sin2θ)dθ=812π
(5)
(1)と同様の座標変換によって、{(r,θ)|2≤r≤3,0≤θ≤π}の内部にある有界閉領域Eが先の有界閉領域Dに写されるとすれば
∬D1x2+y2dxdy=∬E1rdrdθ=∫π0(∫321rdr)dθ=πlog32
(6)
(1)と同様の座標変換によって、{(r,θ)|1≤r≤2,0≤θ≤2π}の内部にある有界閉領域Eが先の有界閉領域Dに写されるとすれば
∬D1(x2+y2)2dxdy=∬E1r3drdθ=∫2π0(∫211r3dr)θ=∫2π0{−12(14−1)}dθ=34π
(7)
(1)と同様の座標変換によって、{(r,θ)|0≤r≤1,0≤θ≤π2}の内部にある有界閉領域Eが先の有界閉領域Dに写されるとすれば
∬Dtan−1yxdxdy=∬Erarctan(tanθ)drdθ=∫π20θ(∫10rdr)dθ=π28