MENU

【相対性理論】相対性理論01-記憶すべき諸公式

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

$\def\bm#1{{\boldsymbol{#1}}}$
$\def\rmd#1{\mathrm{d}{#1}}$
$\def\Braket#1{\langle{#1}\rangle}$
$\def\Bra#1{\langle{#1}|}$
$\def\Ket#1{|{#1}\rangle}$
$\def\kb{k_{\text{B}}}$
$\def\dag{\dagger}$

相対性理論01

ここでは、時間、長さ、同時刻性などに関する公式を詳しく扱っていきます。特殊相対性理論の問題を解くためには、公式を覚えることが最優先事項です。

ローレンツ変換

静止系$S$と$x$軸方向に一定の速度$v$で運動している系$S’$を考える。このとき、$S$と$S’$の間の変換則は、

\begin{equation}
t’=\gamma\left(t-\dfrac{v}{c^2}x\right)~,~x’=\gamma(x-v t)
\end{equation}

で与えられる。その逆変換は、

\begin{equation}
t=\gamma\left(t’+\dfrac{v}{c^2}x’\right)~,~x=\gamma(x’+v t’)
\end{equation}

である。これらの変換をそれぞれ、ローレンツ変換ローレンツ逆変換という。これらは第$2$項目の符号がそれぞれひっくり返っただけであることに注意せよ。ここで、$\gamma$はローレンツ因子で、$\gamma=1/\sqrt{1-(v/c)^2}$である。

これより、動いている物体の時間は$\gamma$倍されるということが導ける。これを時間の遅れという。同様に、長さは$\gamma$倍されるということも導ける。これをローレンツ収縮という。なお、速度成分がゼロの方向には収縮は起こらない。

ここで、相対論でよく使う諸定義をまとめておこう。

\begin{equation}
\beta=\dfrac{v}{c}~,~\gamma=\dfrac{1}{\sqrt{1-(v/c)^2}}=\dfrac{1}{\sqrt{1-\beta^2}}~,~x^\mu=(ct,x,y,z)
\end{equation}

これらを用いると、$x$軸方向のブーストに対するローレンツ変換は次のようにあらわせる。

\begin{equation}
\left(
\begin{array}{l}
x^{0′}\\
x^{1′}\\
x^{2′}\\
x^{3′}
\end{array}
\right)
\bm{x}’=\left(
\begin{array}{cccc}
\gamma&-\gamma\beta&0&0\\
-\gamma\beta&\gamma&0&0\\
0&0&1&0\\
0&0&0&1
\end{array}
\right)\bm{x}
\left(
\begin{array}{l}
x^{0}\\
x^{1}\\
x^{2}\\
x^{3}
\end{array}
\right)
\end{equation}

速度の合成則

速度$v$で運動する系$S’$から見て速度$u$で運動している系$S”$を静止系$S$から見たときの速度$w$は

\begin{equation}
w=\dfrac{v+u}{1+vu/c^2}
\end{equation}

となる。この合成によって$w$が光速度$c$を超えることはないということに注意。

相対論的ドップラー効果

両者の運動方向が平行になっているとき、振動数・波長はそれぞれ次のように変化する。

\begin{equation}
\dfrac{f_{\text{rec}}}{f_{\text{emit}}}=\sqrt{\dfrac{1+\beta}{1-\beta}},~~~\dfrac{\lambda_{\text{rec}}}{\lambda_{\text{emit}}}=\sqrt{\dfrac{1-\beta}{1+\beta}}
\end{equation}

放出側(emit)と受信側(receive)の順番に注意。非相対論的ドップラー効果の公式では音源が観測者に向かって動くと放出した波の振動数よりも受信した波の振動数の方が大きくなるという関係があったということと関連付けて覚えると良い。波長を考えるのであればその逆数が因子になることも自明である。

4元ベクトルの内積

$4$元ベクトルの内積は以下で定義される。

\begin{equation}
a\cdot b =a^0b^0-a^1b^1-a^2b^2-a^3b^3
\end{equation}

これは不変距離の計算に利用する。

静止エネルギーとエネルギー・運動量の関係式

速度$v$で運動する質量$m$の物体の相対論的運動量は$\bm{p}=\gamma m\bm{v}$となる。ここで、4元エネルギー・運動量ベクトル$p^\mu$を$p^\mu=(E/c,\bm{p})$で定義する。アインシュタインは$p^0c$が以下であらわされる相対論的エネルギー$E$であることを明らかにした。

\begin{equation}
E^2=E_0^2+\bm{p}^2c^2=\gamma mc^2
\end{equation}

相対論的エネルギーはたとえ物体が静止していたとしてもゼロにはならない。$E_0=mc^2$を静止エネルギーと呼ぶ。これを差し引いて得られる運動エネルギー$T$は以下のようにあらわせる。

\begin{equation}
T=E-mc^2=\dfrac{1}{2}mv^2+\dfrac{3}{8}\dfrac{mv^4}{c^2}+\cdots
\end{equation}

第$2$項が非相対論的運動エネルギーと相対論的運動エネルギーの差の主要項になっている。この式は勿論、$E=\sqrt{m^2c^4+\bm{p}^2c^2}$をテイラー展開することでも導ける。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。