MENU

第23講:加法公式

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ζ、及びσ関数の加法公式

(u)(v)の式においてuを変数と考え、vを周期に等しくない定数とする。そうすればこの式は一つの楕円関数で、その極は00に、零点はvvにある。ゆえに前回の(I)の表示式により
(u)(v)=Cσ(uv)σ(u+v)σ(u)2


とおくことが出来る。この各辺をuの冪級数に展開すれば
(u)(v)=1u2

Cσ(uv)σ(uv)σ(u)2=Cσ(v)2+(u+)2=Cσ(v)2u2+

ゆえに両辺を比較してC=1σ(v)2を得る。これを前の表示式に入れれば
(u)(v)=σ(uv)σ(u+v)σ(u)2σ(v)2

となる、これは重要な公式である。ただし上の証明ではvを仮に定数としたのであるが、実は周期以外の値ならば何でもよいのであるから、(1)においてはuv共に変数と考えてよい。
 (1)の両辺の対数をとり、これをu及びvに関して偏微分すれば次の式を得る。
(u)(u)(v)=ζ(uv)+ζ(u+v)2ζ(u)(v)(u)(v)=ζ(uv)+ζ(u+v)2ζ(v)

これを辺々加えれば
ζ(u+v)=ζ(u)+ζ(v)+12(u)(v)(u)(v)

の結果を得る。これをζ関数の加法公式という。

 注意: 第16回で述べた加法公式の定義によればζ(u+v)ζ(u)ζ(v)のみで表さなければならない訳であるが、それは後に述べるように実は不可能なのでやむを得ず(u)等を混ぜるのである。しかし(u)=ζ(u)であることを利用すれば(2)の右辺はζ(u)ζ(v)及びその第二次までの導関数で表される。ゆえに広義においてこれをζの加法公式といってもよい訳である。
 (2)の両辺をさらにuで偏微分すれば次の式を得る。
(u+v)=(u)12u(u)(v)(u)(v)


これすなわち関数の加法公式である。
 (3)の右辺における微分を実行し、その結果を整理すれば
(u+v)=2{(u)(v)14g2}{(u)+(v)}g3(u)(v)2{(u)(v)}2

となる。なおその他種々の形に書き直すことが出来るが、その計算は各自の演習にすることにして、そのいくつかの結果のみをここに記しておく。
(u+v)+(u)+(v)=14{(u)(v)(u)(v)}2

|(u)(u)1(v)(v)1(w)(w)1|=0u+v+w=()

 注意: 1。 (5)は今までの諸式からも誘導されるが、次の方針でも独立に証明される。まず(5)の左辺の行列式だけを考え、wの代わりにzの変数を入れれば、この行列式はzに関する第三位の楕円関数である。そしてその極は000にあり、零点の中二つはuvである。ゆえに残りの一つをwとすれば、第23回定理6により、u+v+w=0+0+0+()。これからただちに(5)を得る。
 注意: 2。関数の加法公式は(u+v)(u)(v)(u)(v)を含んでいるが、既に知られるように2の三次式で表されるから、結局加法公式は
R{(u+v)(u)(v)}=0(R)

の形に書かれる。この性質を称して関数は代数的加法公式をもつという。
 さて最後にσ関数の加法公式を求めるのであるが、これもある意味において広義のものしか出来ない。まずABCDを任意の数とすると
(AB)(CD)+(AC)(DB)+(AD)(BC)=0

が恒等式であることは明らかである。そこで今特に
A=(u)   B=(u1)   C=(u2)   D=(u3)

とおく、ただしuu1u2u3は各独立な変数とする。前の(1)により
AB=(u)(u1)=σ(u+u1)σ(uu1)σ(u)2σ(u1)2

CD、その他についても同様に計算し、それらを上の恒等式に入れ、分母を払えば次の式を得る。
σ(u+u1)σ(uu1)σ(u2+u3)σ(u2u3)+σ(u+u2)σ(uu2)σ(u3+u1)σ(u3u1)+σ(u+u3)σ(uu3)σ(u1+u2)σ(u1u2)=0

これをσ関数の加法公式という。
 (6)において
u+u1=a   uu1=b   u2+u=c   u2u3=d

とおけば、加法公式は次の形にも書かれる。
σ(a)σ(b)σ(c)σ(d)+σ(a)σ(b)σ(c)σ(d)+σ(a)σ(b)σ(c)σ(d)=0{a=12(a+b+c+d)b=12(a+bcd)c=12(ab+cd)d=12(a+b+cd){a=12(a+b+cd)b=12(a+bc+d)c=12(ab+c+d)d=12(abcd)

参考文献

参考文献は以下の通り。

[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。

[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。

[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001

[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49  ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。

[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。