ベクトル解析演習4
今回は前回に引き続き、ベクトル解析における曲面の法ベクトルを計算する練習をしましょう。
要点のまとめ(再掲)
2変数のベクトル値関数r(u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v))を考えます。n変数の場合も同様に拡張します。
このとき、u,vのベクトル値関数r,r1,r2、u,vの関数f、スカラーλ,μに対して、以下の式がそれぞれ成り立ちます。
∂∂u(λr1+νr2)=λ∂r∂u+μ∂r2∂u , ∂∂u(fr)=∂f∂ur+f∂r∂u
∂∂u(r1⋅r2)=∂r1∂u⋅r2+r1⋅∂r2∂u , ∂∂u(r1×r2)=∂r1∂u×r2+r1×∂r2∂u
∂r∂s=∂u∂s∂r∂u+∂v∂s∂r∂v , ∂r∂s×∂r∂t=∂(u,v)∂(s,t)(∂r∂u×∂r∂v)
また、2変数ベクトル値関数r(u,v)が与える曲面をSとすると、∂r∂u×∂r∂vはSの各点でSの法ベクトルになります。
n=∂r∂u×∂r∂v|∂r∂u×∂r∂v|
とおくと、nはSの点Pにおける単位法ベクトルで、∂r∂u×∂r∂vと同じ向きのものです。単位法ベクトルは±nで与えられます。
問題4
x=3sinθcosφ, y=2sinθsinφ, z=cosθ, 0<θ<π, 0<φ<2πで表される曲面に対し、(θ,φ)=(π3,π4)における単位法ベクトルを求めよ。
解答4
この曲面の単位法ベクトルはr(θ,φ)=(x(θ,φ),y(θ,φ),z(θ,φ))とおけば、(θ,φ)=(π3,π4)であることから
∂r∂θ=(3cosθcosφ,2cosθsinφ,−sinθ) , ∂r∂φ=(−3sinθsinφ,2sinθcosφ,0)
∂r∂θ×∂r∂φ=(2sin2θcosφ3sin2θsinφ3sin2θ)=(3√24,9√28,3√32) , |∂r∂θ×∂r∂φ|=3√374√2
従って与えられた条件における単位法ベクトルは
±1√37(232√6)