℘関数の例
sn関数はその定義からみても明らかなように正弦関数と多くの類似点をもっているので親しみやすい感じがありますが、℘関数は全くの新しい関数なので、ここで一つの簡単な場合をとってその数値を調べてみましょう。
まずaを正の実数とし
2ω1=2a, 2ω3=2ai
の周期をもつ℘関数を考えます。この場合の周期平行四辺形は正方形です。
このような℘関数においてはg3=0です。なぜならば
g3=140∑′1w6=140∑′1[2a(m+ni)]6=3516a6∑′1(m+ni)6
ここにm,nは同時に0となる場合だけを除いて各々あらゆる整数値をとるためです。すると一般に
1(m+ni)6+1(−n+mi)6=0
であるから、上記の∑′の中にある各項は二つずつ互いに消し合って結局g3=0となります。g2の方は0ではありませんが、しかし
g2=60∑′1w4=154a4∑′1(m+ni)4
において
1(m+ni)4+1(m−ni)4=(実数)
となることに注目すれば、とにかくg2が一つの実数であることは明らかです。
よってcnの値を計算すれば、次の展開式を得ることができます。
℘(u)=1u2+g220u2+g221200u6+g23156000u10+⋯
この級数の係数はすべて実数で、また一般の関数論で知られている通り、この展開式は原点を中心としこれに最も近い極を通る円すなわち半径2aの円の内部で(厳密に言えばその円内から中心の一点を除いた環状面分で)成り立ちます。故に周期正方形の二辺(0,2a),(0,2ai)上における℘(u)の値はすべてこの式で計算できます。m=iとして
℘(iu|2ai,−2a)=−℘(u|2a,2ai)
すると(2ai,−2a)を基本周期としても(2a,2ai)を基本周期としても結局同じことなので、
℘(iu)=−℘(u)
の関係を得ることができます(これは(1)の一般項の形を明らかにしておけばそこからも証明することができます)。
さて℘(u)が偶関数であることとその周期性により
℘(2a−u)=℘(u)
ゆえにuが0から2aまで実軸に沿って変わるとき、℘(u)は∞から次第に減ってu=aのときに極小となり(前回(V)により℘′(a)=0)その先は前と対称的に次第に増して∞にいたります。途中でu=aの他に極値がないことは、前回(V)により℘′(u)の零点が0から2aまでの間ではaより他にない事から明らかです。ところで今述べた極小値℘(a)は正でなければなりません。もしこれが0又は負であるとすれば辺(0,2a)上に℘(u)の零点が二つ(位数も考えて)ある事になるためです。故に(2)により、辺(0,2ai)上にも二つある事になり、結局℘(u)は周期正方形内に少なくとも四つの零点をもつことになります。これは℘(u)が第二位である事に反します。
注意:4℘(u)3−g2℘(u)=0の根を求めれば
{e1=℘(a)=12√g2e2=℘(¯1+ia)=0e3=℘(ia)=−12√g2
g2>0でなければならないことがこれから推測できます。
参考文献
参考文献は以下の通り。
[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。
[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。
[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001
[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49 ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。
[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017