楕円積分の分類
R面上の任意の一点において(分岐点でも、無限遠点でも)第5回に説明した補助変数tを用いれば、R(z,s)dzは一般に次のような形に展開されます。
R(z、s)dz=(⋯+c−2t2+c−1t+c0+c1t+c2t2+⋯)dt
係数cはすべて定数で、また負べきの項数は必ず有限です。
もしR面上のすべての点において常にc−1=0、すなわちいたる所でR(z,s)の留数が0ならば、積分関数F(z)は留数が原因で多価になることがないから、裁断線A,Bを設けたR′面において一価になります。これに反してc−1≠0となる点が一つでもあれば、F(z)はR′面においても一価ではなく、
F(z)=∫R(z,s)dz=⋯−c−2t+c−1logt+c0t+c12t2+⋯
となって対数的な特異点をもちます。
c−1=0の場合にさらに二つに分けることが出来ます。すなわち第一にc−1のみならずc−2,c−3,⋯など負の添字のcがいたる所においてすべて0のときは、F(z)はR′において一価となるだけでなくいたる所で正則です。第二にいずれかの点においてc−2,c−3,⋯のうち少なくとも一つ0でないものがあるときは、F(z)はその点において極をもちます。
以上の結果により、我々は楕円積分を次の三種に分類することにします。
第一種 R′面において一価で、かついたる所正則なもの。
第二種 R′面において一価で、極をもつがその他の特異点をもたないもの。
(以上二種はR′面では一価であるがR面ではもちろん一般に多価で、周期母数の整数倍だけの差をもつ種々の値をとるのである。また極をもつ場合にはもちろん有限個数だけの極をもつのである。)
第三種 R′面においても一価でなく、かつ対数的特異点をもつもの。
以上はF(z)について起こり得るべきすべての場合を考えつくしましたが、実は楕円積分のみならず一般の代数関数の積分を考えても結局これと同様な三種に分類することが出来ます。
さて上記の三種は楕円積分の関数論的性質によって分類しましたが、第3回に述べた三種の標準形をこの新しい角度から調べてみるとちょうど三つの種類が一つ一つ対応していることがわかります。次にこれを証明します。
まず第一種の標準形
F1(z)=∫dz√(1−z2)(1−k2z2)
を取ってみると、R面上のいずれの点においても
dz√(1−z2)(1−k2z2)=(c0+c1t+c2t2+⋯)dt
の形の展開式を得るから、F1(z)は第一種の楕円積分です。次に
F2(z)=∫√1−k2z21−z2dz
について考えると、R面上の有限の一点においては常にF(z)の場合と同様であるが、無限遠点においてはz=1tであるから
√1−k2z21−z2dz=1t2(c0+c2t2+⋯)dt
となります。ゆえにF2(z)は点∞において一位の極をもつ第二種の楕円積分です。
最後に
F3(z)=∫dz(z2−a2)√(1−z2)(1−k2z2)
においては、z=±a以外の点では(無限遠点でも)F1(z)の場合と同様ですが、z=±aの点では
dz(z2−a2)√(1−z2)(1−k2z2)=1t(c0+c1t+⋯)dt
となってそこに対数的特異点をもちます。ゆえにF3(z)は第三種の楕円積分です。
前に標準形を三種に分けたのは単に機械的な計算の概要によって分類しただけでしたが、その分類はさらに深い関数論的基礎をもつことが明らかとなったのです。
第1種楕円積分
三種の楕円積分の中で最も簡単でかつ重要な第一種の積分に関して少し議論してみよう。
φ(z)をzに関する四次式または三次式とするとき、
∫dzs(s=√φ(z))
が第一種であることは前回においてF1(z)について述べたのと全く同様に証明される。ここでは一歩進んでその逆を証明する。すなわち
第一種楕円積分は∫dzsしかない
ということを主張するのである。
今∫R(z、s)dzを一つの楕円積分とし、まず最初はs2=φ(z)を四次式と考える。補助変数tの定め方により、R面上の分岐点でない有限の一点aにおいてはz−a=t、従ってdz=dtである。分岐点αにおいてはz−α=t2、従ってdz=2tdtである。また無限遠点はこの場合には分岐点でないからそこではz=1t 、従ってdz=−dtt2となる。ゆえにR(z、s)dzをtの冪に従って展開したとき負冪の項がないとすれば(これはすなわち∫R(z、s)dzが第一種となるための必要かつ十分な条件である)、R(z、s)は
z=aにおいては正則、
z=αにおいては一位の極をもち得て、
z=∞においては少なくとも二位の零点をもつ
ものでなければならない。ところで今s自身を考えてみると、
z=aにおいて正則、
z=αにおいて一位の零点をもち、
z=∞において二位の極をもつ。
ゆえにsR(z、s)を作ればこれはR面上においていたる所正則である、従って第5回に証明したようにこれは定数でなければならない。その定数をCとすれば
R(z,s)=Cs
となる。
φ(z)が三次式の場合には点∞が分岐点になるからそこではz=1t2 、従ってdz=−2dtt3となる点だけが前と相違するが、大体の論法は前と同様でやはり(1)の結果を得る。
よって結局第一種の楕円積分は
C∫dzs
の他には存在しないことが判る。Cはsの中に含ませることが出来るから、この結果は、∫dzsといってもよいのである。
次にはついでに
zとsを一つの共通な媒介変数の有理関数として表すことは不可能である
ことを証明する。φ(z)がzの一次式または二次式のときにはzと√φ(z)が一つの共通の媒介変数の有理関数として表されることは積分学でよく知られた事実であるが、φ(z)が三次または四次のときにはそれが出来ない。
証明は背理法で簡単に出来る。すなわち、もしこのような媒介変数が存在するならば、それを用いて第一種の楕円積分∫dzsを書き直せばこれは有理関数の積分となる。ところで元来第一種であるからこの積分はいたる所で正則でなければならない。さて有理関数の積分はすべて既知の初等関数であるが、その中でいたる所正則なものといえば定数の他にない。それならば第一種楕円積分はすべて定数というわけではない。これにより前述のような媒介変数が存在するということはありえない。
ゆえに楕円積分∫R(z,s)dzにおいてzに新しい変数の有理関数を代入してこれを有理関数の積分に変形することは不可能なのである。ただし「有理」という条件を除いて、zとsを一つの共通な媒介変数の一価解析関数として表すことならば出来る、それには後に述べる楕円関数を使用すればよいのである。
楕円積分の数値計算
第一種楕円積分の標準形
∫dz√(1−z2)(1−k2z2)
についてその数値の計算法を述べます。
第4回に述べたように実積分の場合には常に0<k<1とすることが出来るから後に第21回に説明する特別の計算法も適用されますが、ここでは一般にkを任意の複素数と考えることにします。またこの積分の上下端も一般には任意の複素数のはずですが、今仮にこれをa,bとすれば、常に
∫ba=∫1a−∫1b
のように書き直すことが出来るから、我々は上端を1と定め、下端を任意の数zとして、積分
u=∫1zdz√(1−z2)(1−k2z2)
の値を計算することを考えればよいということになります。
まず最初に
|k|<1 かつ |z|≤1|√k|
の場合について論じましょう。そうでない場合でも次回に述べるように容易にこの場合に直せます。
さて(2)が満足されればもちろん|k2z2|<1であるから、次の展開式が成立します。
1√1−k2z2=1+12k2z2+1⋅32⋅4k4z4+⋯+1⋅3⋯(2n−1)2⋅4⋯2nk2nz2n+⋯
べき級数の性質としてよく知られる通り、この展開式は収束円よりも小さな円
|z|≤1|√k|<1|k|
において一様収束です。よってこれを(1)に代入して項別積分を行えば、次の結果が得られます。
u=∫1zdz√1−z2+12k2∫1zz2dz√1−z2+1⋅32⋅4k4∫1zz4dz√1−z2+⋯ +1⋅3⋯(2n−1)2⋅4⋯2nk2n∫1zz2ndz√1−z2+⋯
この右辺にある積分を処理しましょう。
ここでz=sinθとおき積分学でよく知られた漸化式を用いれば良いです。
∫1zdz√1−z2=1ilog(z+i√1−z2)∫1zz2dz√1−z2=12∫1zdz√1−z2+z√1−z22∫1zz4dz√1−z2=1⋅32⋅4∫1zdz√1−z2+z√1−z24(z2+32)⋯
一般に
∫1zz2ndz√1−z2=1⋅ 3⋯(2n−1)2⋅ 4⋯2n∫1zdz√1−z2+z√1−z22n{z2n−2+2n−12n−2z2n−4+(2n−1)(2n−3)(2n−2)(2n−4)z2n−6+⋯+(2n−1)⋯5⋅32n⋯4⋅ 2}
であるから、これをすべて代入して整頓すると、
u=1iL0log(z+i√1−z2)+√1−z2(L1z+23L3z3+2⋅43⋅5L5z5+⋯
となります。ここに
L0=1+(12)2k2+(1⋅32⋅4)2k4+(1⋅3⋅52⋅4⋅6)2k6+⋯L1=(12)2k2+(1⋅32⋅4)2k4+(1⋅3⋅52⋅4⋅6)2k6+⋯L3=(1⋅32⋅4)2k4+(1⋅3⋅52⋅4⋅6)2k6+⋯L5=(1⋅3⋅52⋅4⋅6)2k6+⋯
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
仮定により|k|<1であるからこれらの級数でLが計算され、uが求められます。
ところで(3)の級数には√1−z2が含まれていてこの根号の符号の取り方を変えればちょうどuの符号が変わります。また(3)はlogの項を含むから対数関数の多価性により(積分路のとり方によって)uの値は2πL0の整数倍だけ変わり得ます。ゆえに結局(3)によって与えられる値の一つをu0とすれば、その全部は
2nπL0±u0(uは整数)
で表されます。しかしこれは積分(1)の取るすべての値ではありません。既に知られている通り第一種楕円積分においては、対数的特異点はありませんが、周期母数P(A),P(B)があって、その積分の一つの値をu0とすれば、全部の値は
u0+mP(A)+nP(B)(m,nは整数)
となるはずです。(4)と(5)の差異について議論しましょう。
まず(4)においてはu0の前に正負の複号が付いているが、(5)には複号がありません。これは何が原因であるかというと、第6回の議論では積分の一端zをR面上の一点と考えているので、単にzの数値のみならずR面を形成しているいずれの平面上にあるかをも考えに入れていることにあります。これに反して本回(1)の積分ではその下端zはその数値のみを考えているので、もしこれをR面の上に持ってこさせてみるならば同じzでも一方の平面上のzとも他の平面上のzとも見られます。そのいずれと見るかによって(1)はちょうど符号を変えることになる、これが(4)に符号の現れる理由ですね。
次に注意:すべきことは、(3)は冪級数であるからその収束円の内部だけでuの値を表していることです。この収束円の半径は1|k|で、(2)の仮定により、1よりも大きいから、今R面をこの収束円の部分だけ切り抜いて取るとちょうど図のように二枚の円が二つの線分(1,1k)及び(−1,−1k)において交差した形の面を得ます。この面の上で√(1−z2)(1−k2z2)は一価ですが、積分uは(積分路をこの面内に限っても)一価ではありません。例えばzから1にいたる三つの積分路C1,C2,C3を考え、C1に沿っての積分の値をu0とすれば、C2に沿ってのものもやはりu0です。なぜならC2はこの面内で連続的に変形して容易にC1と一致させ得るからです。これに反してC3はこれを連続的変形によって全部C1と一致させることは出来ません。二つの分岐点1,−1を一周する部分の長さを出来るだけ緊縮した所で結局
∫(C3)=∫(C1)+∫−11dz−√+∫1−1dz√
となるに過ぎないのです。ただし右辺の被積分関数の根号の前の符号は積分路が上方の平面にあるときに正、下方の平面にあるとき負としました。今簡単のために
∫10dz√(1−z2)(1−k2z2)=K
とおけば、
∫−11dz−√=∫1−1dz√=2K
ゆえに上の関係は次のようになります。
∫(C3)=u0+4K
積分路の取り方はなお種々考え得ますが、要するに−1の分岐点を一周するごとに積分の値が4Kだけ増減するので、最も一般の値は
u0+4nK(nは整数)
で表されることになります。もしzの同じ数値の点がこのRiemann面の他の一葉の上にもあることを考えに入れれば、(3)によって与えられるuのすべての値は
4nK±u0(nは整数)
となって、これは正しく(4)と一致すべきはずです。実際Kを無限級数で表してみるとちょうどπ2L0となることは容易に計算されるから、上式が(4)と一致することは確かです。
第6回の記号を踏襲すれば
P(B)=∫(−A)=∫−11dz√+∫1−1dz−√=−4K
ゆえに(4)で与えられるuの値は(5)の中のP(A)の項を欠いたものであるとわかります。
なぜP(A)の項を欠いてP(B)の項のみ保存された式が出来たかというと、曲線Aは二つの線分(1,1k)、(−1,−1k)と交わってさえいればどのように大きく広がっても差し支えないから、上記の切り抜かれた円の外に出てしまうことが出来ますが(二点±1kの所だけわずかに円周にかかる)、Bはどうしても1と−1の間を通らなければならないから全く円外に出るわけにはいかないということです。従ってこの二重円内でuの積分を考えるとき、その積分路がAは全然横切らないことを得ますが、Bを横切るものは必ず存在します。よって上記のような主張が正しいと言えます。
もし(3)の展開式の中心を原点から次第に移動し1kまたは−1kの周りを一周する経路を伝わりながら解析接続を行えば、ついにP(A)の影響が現れて一周の後または中心が原点に来たときこの級数の値は前とは±P(A)だけの差異をもつことになるはずです。
前回の(2)の条件が満足されない場合でもこれを適当に変形してこの条件を満足するようにできることを次に証明しましょう。
一般に任意の第一種楕円積分に第2回に述べた変形を行えば常に
c1∫dζ√ζ(1−ζ)(1−λζ)(c1は定数)
の形にすることが出来ます。第2回で細かく論じた通り、この際変形式の取り方を適当に選んで(1)におけるλを用いて基本領域すなわち数平面上の
x2+y2≦
の弓形内に入らせたものと考えます。
ここにおいて
\zeta=\xi^2
とおいて(1)をさらに変形すれば
c_2\int\frac{d\xi}{\sqrt{\left(1-\xi^2\right)\left(1-\lambda\xi^2\right)}}\hspace{1cm}\left(c_2は定数\right)\tag{2}
となる。\zetaの一つの値に\xiの二つの値が対応しますが、今その中で
\Re\left(\xi\sqrt[4]{\lambda}\right)\geqq0\tag{3}
となる方の値をとることとします。ただし\displaystyle\sqrt[4]{\lambda}の値は偏角がゼロまたは最小正角のものをとることにします。
次には
\frac{1-\sqrt[4]{\lambda}}{1+\sqrt[4]{\lambda}}=\sqrt{h}
とおいて、(2)にさらに次の変換を行います:
\sqrt{h}\eta=\frac{1-\sqrt[4]{\lambda}\xi}{1+\sqrt[4]{\lambda}\xi}\tag{4}
この変換の結果は実際に計算してみれば次の通りです。
c_3\int\frac{d\eta}{\sqrt{\left(1-\eta^2\right)\left(1-h^2\eta^2\right)}}\hspace{1cm}(c_3は定数)\tag{5}
まず(3)によって、\displaystyle\sqrt[4]{\lambda}\xiを実部と虚部に分けて
\sqrt[4]{\lambda}\xi=X+Yi\hspace{1cm}とすれば\hspace{1cm}X\geqq0
となります。ゆえに(4)により
\left|\sqrt{h}\eta\right|=\left|\frac{1-X-Yi}{1+X+Yi}\right|=\sqrt{\frac{\left(1-X\right)^2+Y^2}{\left(1+X\right)^2+Y^2}}\leqq1
これはすなわち前回(2)の条件の一つである。次に\left|h\right|<1を証明しなければならないですが、それには
\left|\sqrt{h}\right|=\left|\frac{1-\sqrt[4]{\lambda}}{1+\sqrt[4]{\lambda}}\right|<1
となることを示せばよいとわかります。
仮定により\lambdaは基本領域です。そして\sqrt{h}はこの領域で\lambdaの正則関数なので、一般の関数論でよく知られる通り\left|\sqrt{h}\right|は基本領域の周囲の上でその最大値をとるはずです。ゆえに今この弓形の周上のどこでも\displaystyle\left|\sqrt{h}\right|<1となることを示せればよいということになります。
まず\lambdaが弓形の弧上にあるとして、
\lambda=\cos\theta+i\sin\theta\ ,\ \ \ \sqrt[4]{\lambda}=\cos\frac{\theta}{4}+i\sin\frac{\theta}{4}
-\frac{\pi}{3}\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{3}
とおけば
\begin{align}
\left|\sqrt{h}\right|&=&\sqrt{\frac{\displaystyle\left(1-\cos\frac{\theta}{4}\right)^2+\sin^2\frac{\theta}{4}}{\displaystyle\left(1+\cos\frac{\theta}{4}\right)^2+\sin^2\frac{\theta}{4}}}=\sqrt{\frac{\displaystyle1-\cos\frac{\theta}{4}}{\displaystyle1+\cos\frac{\theta}{4}}}\\
&=&\left|\tan\frac{\theta}{8}\right|\leqq\tan\frac{\pi}{24}<1
\end{align}
次に\lambdaが弓形の弦上にあるとして、
\lambda=\frac{1}{2}+\frac{i}{2}\tan\theta\ ,\ \ -\frac{\pi}{3}\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{3}
とおく。\thetaの符号を変えれば\lambdaは共役な数に変わり、従って\displaystyle\sqrt{h}もまたそれの共役数になります。しかし今はその絶対値だけを考えるのであるから共役数でも同じことです。よって\displaystyle0\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{3}と考えることにします。
この範囲において\displaystyle\left|\sqrt{h}\right|が\thetaの増加関数であることを次に証明しましょう。それには
\frac{d}{d\theta}\left|\sqrt{h}\right|\gt0
を示せばよいですが、一般に
\left|\sqrt{h}\right|=e^{\Re\left(\log\sqrt{h}\right)}
であるから、上の不等式の代わりに
\frac{d}{d\theta}\Re\left(\log\sqrt{h}\right)=\Re\left(\frac{d}{d\theta}\log\sqrt{h}\right)\gt0
を証明すればよいことになります。
さて
\log\sqrt{h}=\log\left(1-\lambda^\frac{1}{4}\right)-\log\left(1+\lambda^\frac{1}{4}\right)
であるから、
\begin{align}
\frac{d}{d\theta}\log\sqrt{h}&=&-\frac{1}{4}\left(\frac{\lambda^{-\frac{3}{4}}}{1-\lambda^{\frac{1}{4}}}+\frac{\lambda^{-\frac{3}{4}}}{1+\lambda^{\frac{1}{4}}}\right)\frac{d\lambda}{d\theta}\\
&=&-\frac{1}{2}\frac{\lambda^{-\frac{3}{4}}}{1-\lambda^{\frac{1}{2}}}\frac{d\lambda}{d\theta}\\
&=&-\frac{1}{2}\frac{\lambda^{-\frac{1}{4}}+\lambda^{-\frac{3}{4}}}{1-\lambda}\frac{d\lambda}{d\theta}
\end{align}
なので
\begin{align}
\frac{d\lambda}{d\theta}=\frac{i}{2}\sec^2\theta&=&\frac{i}{2}\left(1+\tan^2\theta\right)=\frac{i}{2}\left\{1+\left(\frac{2\lambda-1}{i}\right)^2\right\}\\
&=&2i\lambda\left(1-\lambda\right)
\end{align}
ゆえに
\begin{align}
\frac{d}{d\theta}\log\sqrt{h}&=&-\frac{1}{2}\frac{\lambda^{-\frac{1}{4}}+\lambda^{-\frac{3}{4}}}{1-\lambda}2i\lambda\left(1-\lambda\right)\\
&=&-i\left(\lambda^\frac{3}{4}+\lambda^\frac{1}{4}\right)
\end{align}
さて
\lambda=\frac{1}{2}+\frac{i}{2}\tan\theta=\frac{\cos\theta+i\sin\theta}{2\cos\theta}
であるから、
\lambda^\frac{1}{4}=\frac{\displaystyle\cos\frac{\theta}{4}+i\sin\frac{\theta}{4}}{\sqrt[4]{2\cos\theta}}\ 、\ \ \lambda^\frac{3}{4}=\frac{\displaystyle\cos\frac{3\theta}{4}+i\sin\frac{3\theta}{4}}{\sqrt[4]{\left(2\cos\theta\right)^3}}
よって
\Re\left(\frac{d}{d\theta}\log\sqrt{h}\right)=\frac{\displaystyle\sin\frac{\theta}{4}}{\sqrt[4]{2\cos\theta}}+\frac{\displaystyle\sin\frac{3\theta}{4}}{\sqrt[4]{\left(2\cos\theta\right)^3}}\geq0
この結果がちょうど0に等しいのは\theta=0のときだけであるから、\displaystyle\left|\sqrt{h}\right|は\displaystyle0\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{3}において\thetaの増加関数で、従って\displaystyle\theta=\frac{\pi}{3}のときに最大値をとります。その値はすなわち前に得た\displaystyle\tan\frac{\pi}{24}にほかならない、ゆえにもちろん1より小さいということになります。
これによって、(5)の積分は前回の方法でその数値が計算されることがわかります。
参考文献
参考文献は以下の通り。
[1]竹内端三,『楕円関数論』,岩波書店,1936
出版社在庫無し、著作権消失済み。
[2]E.T. Whittaker, et al., A Course of Modern Analysis (AMS PRESS, 1927)
著作権消失済み。
[3]戸田盛和,『楕円関数入門』,日本評論社,2001
[4]戸田盛和,『臨時別冊・数理科学SGC ライブラリ49 ソリトンと物理学』,サイエンス社,2006
同出版社より電子書籍の形で復刊済み。
[5]Landau・Lifshitz,『力学』,東京図書,2017